【2026年版】現役バックエンドエンジニアが書く SES脱出完全ガイド

SESを抜け出したい——とは、正直あまり思っていなかった。
これは過去の自分の話だ。学生時代に2年ほどSIerで長期インターンをしていて、PHP / Laravelの実務には早い段階から触れていた。新卒でSESに入社し、PHPとZend Framework 1系でWebシステムの開発・運用をしていた。お客様との距離が近く、ベトナムの開発ベンダーともやりとりしながら進める現場で、お客さんのITリテラシーが高いおかげでデスマーチとは無縁だった。無理なものは無理と言える、環境としては恵まれた方だったと思う。
ただ、そのシステムは7年選手のレガシーだった。技術刷新の話は出ていた。お客さんも合意していた。でも大規模な改修になること、機能が増えるわけでもないことから、話は毎年先送りになり続けた。新卒から2年が経ったとき、「このまま自分のキャリアが止まっていていいのか」という焦りが積み重なって、転職を決めた。
10社に応募して5社から内定をもらい、2ヶ月で大手自社開発企業へ転職した。年収は350万から500万になった。その後2年間で積んだ経験を武器にフリーランスへ転向し、現在は年収1000万円ほどになっている。このキャリアの軌跡と、転職活動でやってよかったこと・やり直したいことを、この記事にすべて書く。
この記事でわかること
① SES出身者が転職市場で不利な構造的理由(環境が良くても起きる問題)
② スキルシート・GitHub整備・職務経歴書の具体的な書き方
③ 転職エージェントの選び方と「1社だけ使った」失敗談
④ 面接でSES出身者がよく詰まる3パターンと回避法
⑤ 自社開発→フリーランスへつながるキャリアの設計
SES脱出の最短ルートは 転職エージェントへの無料登録 から始まる。まず自分の市場価値を知ることが第一歩。筆者は10社受けて5社内定、2ヶ月で年収350万→500万を実現した。
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なぜバックエンドエンジニアはSESから抜け出しにくいのか
構造的な問題:スキルが「現場依存」になる
SESの最大の問題は、スキルが現場の文脈に閉じ込められることだ。
たとえばこういうことが起きる。筆者の場合はこれだった。
- 新卒から2年間、PHP・Zend Framework 1系のWebシステム運用をしてきた
- お客さんのビジネスロジックや現場のフローは隅々まで把握している
- しかし「何を作れますか?」と聞かれると、言葉が出ない
しかも使っていたZend Frameworkは1系。現場として問題なく動いていたが、外の世界では既に「古い技術」として扱われる。技術刷新の話は毎年出るのに大規模になると分かった瞬間に立ち消え、7年動き続けるシステムの上で同じコードを書き続けた。
転職市場で問われるのは「汎用的なスキル」だ。モダンなフレームワークでREST APIを設計できる、Dockerでコンテナ化できる、DBのクエリを最適化できる——こういった「どの現場でも通じる技術力」が評価される。現場固有のノウハウは、どれだけ深くても転職市場ではほぼ評価されない。
単価構造がスキルアップを妨げる
SES企業のビジネスモデルは「エンジニアの稼働時間を売ること」だ。あなたが80万円/月の単価で客先に出ていても、会社が50万円取って手元に30万円しか残らない——というのはよくある話だ。
高単価現場に行けるかどうかは運と営業力次第であり、本人のスキルアップ意欲とは無関係にアサインされる。
よくある罠
「今の現場は居心地がいいから」「プロジェクトが佳境だから」と転職を先延ばしにするうちに、気づけば30代半ば。焦って転職活動をしても、スキルの裏付けがなく内定が出ない——このパターンで相談を受けることが多い。
転職市場の実態:2026年版データ
IPA「IT人材需給に関する調査(2023年)」によれば、日本のIT人材は約120万人。SES・客先常駐の正確な比率は統計化されていないが、SIerとその下請け構造を考えると相当数を占めるのは現場感覚として明らかだ。一方で、自社開発・自社サービス企業への需要は年々高まっており、優秀なバックエンドエンジニアは売り手市場が続いている。
| 職種・環境 | 年収レンジ |
|---|---|
| SES(入社1〜3年) | 300〜450万円 |
| SES(3〜7年) | 450〜600万円(ここで頭打ち) |
| 自社開発・中堅企業(転職直後) | 550〜750万円 |
| 自社開発・スタートアップ(3〜5年後) | 750〜1,000万円+ |
| シニアバックエンド / アーキテクト | 1,000万円〜 |
筆者の場合、SES時代350万→自社開発転職直後500万で、これはほぼ「業界標準」の範囲内だ。その後2年で550万になり、フリーランス転向で現在1000万ほどになっている。スキルと実績の見せ方次第で転職時点でもう50〜100万は上乗せできたと、今は思っている。
筆者は現場の技術スタックが古く、大規模リファクタリングも承認されない状況に限界を感じ、大手自社開発企業への転職を決断した。転職活動は約2ヶ月、10社受けて5社から内定を獲得。転職後にモダンな技術スタックに触れ、さらに大手ならではの人脈が広がったことが、その後のフリーランス活動にも直接活きている。「辞めてよかった」と確信した瞬間だった。
STEP 1:転職を決意する前に「自分棚卸し」をする
自分が転職を決意したのは、SES 2年目の終わりごろだった。現場では毎日 Zend Framework 1系のコードを触っていて、「このままあと3年いたら、履歴書に書けるものが何も増えない」という感覚があった。でも実際に動き始める前に「自分が何をやってきたか」を整理しないと、エージェントの面談で何も語れない状態になる。それを身をもって経験した。
転職エージェントに登録する前に、必ずこれをやってほしい。棚卸しなしでエージェントと話すと、「とりあえず求人を見せます」モードで流されてしまう。
スキルシートを自分で書く
以下の3カテゴリに分けてスキルを書き出す。「業務経験年数」と「業務外の自習」を分けて書くことがポイントだ。
| カテゴリ | 記載項目の例 |
|---|---|
| 言語・FW | Java 17(業務5年)/ Spring Boot 3.x(業務4年)/ Python(個人1年) |
| インフラ | AWS(EC2, RDS, S3, Lambda)業務2年 / Docker 業務1年 / Linux 業務5年 |
| ツール・手法 | Git / Jenkins(CI/CD)/ Agile・Scrum 業務1年 |
業務経験は採用担当に「本当に使える?」と検証されるが、個人学習はGitHubで補強できる。
語れるエピソードを3本用意する(STAR法)
面接で必ず聞かれる「技術的に貢献した経験を教えてください」に答えるためのエピソードを事前に用意する。
| 要素 | 内容 | 記載例 |
|---|---|---|
| Situation | どんなプロジェクトで、何が問題だったか | 既存システムのレポート出力APIが「画面が固まる」とクレームが入り続けていた。計測すると平均3.8秒、ピーク時は7秒超 |
| Task | 自分の役割・担当範囲 | バックエンドのパフォーマンス改善を1人で担当 |
| Action | 具体的に何をしたか | スロークエリ分析→複合インデックス追加、N+1解消、Redisキャッシュ導入 |
| Result | 数字で語れる成果 | レスポンス 3.8秒→0.9秒(76%改善)、クレーム件数ゼロに |
「チームで〜しました」ではなく「自分が何をしたか」を語ることが重要だ。
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STEP 2:GitHubを「見せられる状態」にする
転職活動を始めた当初、GitHubのコントリビューションはほぼ空だった。業務コードは出せないし、個人開発もしていなかった。「GitHubが空でも職務経歴書で補えばいいか」と思っていたが、Findyに登録したときにスコアが低く出て、これは準備が足りないと気づいた。そこから転職活動の2ヶ月間、週3〜5コミットを意識して個人プロジェクトを作り続けた。
2026年現在、バックエンドエンジニアの転職においてGitHubは実質的に「第二の職務経歴書」だ。特にFindy・Green・スタートアップ系の採用担当は、書類よりGitHubを先に見るケースがある。
まずプロフィールを整える(最低限やること)
- アイコン画像を設定する(デフォルトのアイコンは印象が薄い)
- 自己紹介を書く(使える言語・興味領域・現在の状況)
- README.mdをプロフィールに設置する(
<username>/<username>リポジトリを作成)
プロフィールREADMEの例:
## Hi, I'm a Backend Engineer 👋
**Languages & Frameworks:** Java / Spring Boot / Go / Python / SQL
**Infrastructure:** AWS / Docker / PostgreSQL / Redis
**Interests:** Distributed Systems, API Design, DDD
Currently looking for backend roles in product companies.「見せられるリポジトリ」を最低2本作る
業務コードは出せないが、個人で作ったプロジェクトを公開する。重要なのは「完成している」こと、「READMEがちゃんとある」こと。
| ポートフォリオの種類 | 評価されやすい理由 |
|---|---|
| REST APIサーバー(認証・CRUD・テスト付き) | バックエンドの基本スキルを網羅的に示せる |
| CLIツール(実用的な問題を解決するもの) | 設計の意図・思考プロセスが語りやすい |
| データ処理バッチ(CSV集計→DB登録など) | 業務経験を個人レベルで再現できる |
フロントエンドがなくても全く問題ない。むしろ「バックエンドに特化している」という印象になってプラスだ。
時短テクニック
完全にゼロから作るより、「業務で書いたコードに似た問題を個人で再現する」方が早い。「在庫管理API」「タスク管理API」など、業務のミニチュア版を作るだけで十分評価される。
良いREADMEの構成:
# プロジェクト名
一言でなにをするものか説明する。
## 技術スタック
- Java 21 / Spring Boot 3
- PostgreSQL 16
- Docker / Docker Compose
## セットアップ
docker-compose up -d で起動します。
## APIエンドポイント
| Method | Path | 説明 |
|---|---|---|
| POST | /api/auth/login | ログイン |
| GET | /api/users/{id} | ユーザー取得 |
## 設計のポイント
なぜこの設計にしたか(思想)を書く。これが面接での会話につながる。採用担当がGitHubで見るのは「コントリビューショングラフ(緑のマス)」だ。転職活動中は週3〜5コミットを目標にする。

筆者のGitHub Contributions(過去1年)。転職活動中の3ヶ月は集中してコミットが増えている
STEP 3:使うべき転職サービスを選ぶ
ここが自分にとって最大の失敗ポイントだった。レバテックキャリア1社だけに絞って動いていたので、求人の選択肢が狭く、比較もできなかった。結果的に5社内定は出たが、もう少し幅広く登録していれば年収提示が違っていた可能性がある。複数サービスを掛け持ちすることに遠慮は不要だ。
転職エージェントと求人媒体は複数使い分けるのが鉄則だ。まず全体像を把握してから、自分に合うサービスを選ぶ。
サービス比較一覧
| サービス | タイプ | 主な特徴 | こんな人に向いている |
|---|---|---|---|
| レバテックキャリア | エージェント | ITエンジニア特化・年収交渉代行・非公開求人多 | 確実に年収アップしたい・大手〜中堅自社開発を狙う |
| ユニゾンキャリア | エージェント | IT専門・SES脱出支援実績多・担当者が技術理解 | SES出身でエージェント選びに迷っている |
| Findy | スカウト型 | GitHub連携スコア・モダン開発企業が多い | GitHub整備後に使う・受け身でスカウトを待ちたい |
| Green | 求人媒体 | スタートアップ特化・カジュアル面談に発展しやすい | フラットな組織のスタートアップを探したい |
| doda | 求人媒体 | 求人数トップクラス・IT特化ではない | 情報収集目的でサブ利用する |
推奨の組み合わせ
メイン:レバテックキャリア または ユニゾンキャリア(まず1つ登録して面談する)
サブ:Findy(GitHub整備後)+ Green(スタートアップ情報収集)
doda は担当者の質にばらつきがあるため、求人数の情報収集に絞るのが現実的だ。
レバテックキャリア:メイン推奨エージェント
筆者が実際に使ったエージェントだ。担当者のITスキルが高く、「Zend Frameworkが古い」「PHP案件のポジションはこういう傾向がある」といった技術的な話が普通に通じた。コミュニケーションコストが低く、面接対策も一緒にやってもらえた。IT転職エージェントとして実績No.1クラスで、年収交渉を代行してもらえる点も大きい。
転職で一番後悔しているのは、1社目のエージェントで全部うまくいくと思っていたことだ。実際には面接後の連絡が2週間以上来ないことがあり、担当者に確認したら「先方が検討中です」の一点張りだった。その担当者が悪かったわけではないが、複数社並行して動くべきだったと今も思っている。
ひとつ反省があるとすれば、レバテックの1社だけしか使わなかったことだ。10社中5社内定という結果だったが、複数のエージェントを使って求人の選択肢を広げていれば、もっと条件の良い企業を比較できたと思っている。
ユニゾンキャリア:SES脱出支援に強いエージェント
IT/Web系エンジニア専門のエージェント。SES・受託開発からの転職支援実績が豊富で、担当者がIT業界出身のため技術的な強み・弱みを正確に把握した上で求人を紹介してくれる。レバテックキャリアと並行して使うことで求人の選択肢が広がる。
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筆者はレバテックキャリアの1社だけだったが、ユニゾンキャリアやFindyも組み合わせると、紹介される求人の幅が広がって比較検討しやすくなる。複数使うことを強くすすめる。
著者実録: 10社応募→5社内定までの2ヶ月
ここからは実際のスケジュールと反省点を書く。
Week 1: レバテックキャリアに登録、面談
新卒2年目の3月、最初に動いたのはレバテックキャリアの面談だった。担当者は20代後半の男性で、Web開発経験者と分かるレベルの技術理解があった。「Zend Framework 1系ですか…」と最初に言われた時、自分でも「ああ、これは厳しいな」と思った。
当時の現場は行政系の帳票システムで、フレームワークはZend Framework 1系、PHPのバージョンも5系だった。担当者が一瞬黙ったあと「スキルの見せ方を工夫しましょう」と言ってくれたのを覚えている。その言い方が優しかったぶん、現実の厳しさが刺さった。
Week 2-3: 求人20社の中から12社にエントリー
提示された求人は絞り込み後で約20社。最初のフィルタは「自社プロダクトがあるか」だけだった。今思えば「給与レンジ」「リモート可否」「使用技術」も最初から見るべきだった。
技術スタックが全然違う求人に出して落ちる、という無駄な時間を2週間ぐらい使った。「Kotlin経験なし・Go未経験・AWSは個人利用のみ」という状態で、Kotlinメインのスタートアップに出すのは無謀だった。
Week 4-6: 書類通過は8社、1次面接で詰まる
最初の面接(業界中堅のSaaS企業)で「なぜ転職したいんですか?」と聞かれ、正直に「使っている技術が古くて将来が不安です」と答えた。面接官の表情が一瞬曇った。これが学びになった。
「不安だから逃げたい」は転職理由として弱い。「○○をやりたいから御社を選んだ」の形に変えるだけで、その後の通過率が上がった。1次面接の通過率は最初の2社が0/2で、言い方を変えてから4/6になった。
Week 7-8: 最終面接、5社から内定
最終的に5社から内定。年収レンジは450〜550万円。このうち500万を提示してくれた中堅自社開発企業(業務系SaaSの開発会社)に決めた。
決め手はチームの雰囲気というより「コードレビューが文化として根付いているか」だった。最終面接で「PRのレビューに平均何日かかりますか?」と聞いたら「その日か翌日です」と返ってきた。SES時代はコードレビューがなかったので、ここが最重要だった。
STEP 4:職務経歴書で「自社開発企業に刺さる」書き方をする
最初に書いた職務経歴書は、現場の作業をそのまま箇条書きにしただけだった。「Javaで帳票システムの保守・運用を担当」。それだけ。担当エージェントに「数字と成果を入れましょう」と言われて書き直したが、最初の書き方では半分以下の企業にしか刺さらなかったと思う。
職務経歴書は「読んで事実を確認する書類」ではなく、「面接で話したいことのアジェンダ」だと思うといい。採用担当が「ここ詳しく聞きたい」と思う部分を意図的に作る。
NG:SES出身者によくある書き方
このような書き方は落とされる
「何をしたか」しか書いておらず、採用担当が「で、あなたは何ができるの?」となる。
・○○銀行の基幹システム保守・開発に従事
・Javaを用いたバッチ処理の実装
・テスト設計・実施
OK:採用担当に刺さる書き方
【担当業務】業務系Webシステム(受注・在庫管理)のバックエンド開発・保守
【技術環境】
Java 17 / Spring Boot 3 / MySQL 8 / Docker / AWS (EC2, RDS, S3)
【主な実績】
① レポート出力APIのパフォーマンス改善
- スロークエリの分析(EXPLAIN)→複合インデックス追加
- キャッシュ戦略をDBキャッシュ→Redisに変更
- 結果:レスポンスタイム 3.8秒→0.9秒(76%改善)、クレーム件数ゼロに
② CI/CDパイプラインの構築
- Jenkins → GitHub Actions への移行を主導
- デプロイ所要時間:45分→12分に短縮
- 自動テストカバレッジ:0%→68%に向上

筆者が実際に使った職務経歴書の実績セクション。コスト削減・コードレビュー導入・MVP受賞を数字と背景で記載した
STEP 5:面接で「SES出身ならではの詰まり」を回避する
1次面接を2社連続で落ちたとき、理由がわからなかった。書類は通っているのに、面接で何かがずれている。振り返ると、「なぜ転職したいか」を聞かれるたびに「技術が古くて不安だから」と答えていた。それが問題だったと気づいたのは、3社目で面接官に「前向きな理由が少し弱いですね」と言われてからだ。
自社開発企業の面接でSES出身者がよく詰まるのは以下の3パターンだ。
パターン1:「何を作りましたか?」
SES出身者は「保守・運用」が長いと、新規開発の経験が薄いことが多い。正直に言いつつ、自分が判断・設計した部分を強調する。保守経験は「既存コードを読む力」「品質への意識」として正の側面があるので、そこも言語化する。
「新規機能の設計・実装よりも保守・改善が中心でした。
ただ、○○の場面では自分でDB設計を見直し、△△という問題を解決しました。
個人開発でREST APIサーバーを作っており、設計思想は○○を意識しています」
パターン2:「なぜ弊社に応募しましたか?」
「SESを脱出したい」は正直だが、それだけでは刺さらない。相手企業のプロダクト・技術への具体的な興味を語ることが重要だ。
事前にやること:① テックブログを全部読む、② 技術スタックを把握する、③ プロダクトを実際に使ってみる。
「御社の技術ブログで、マイクロサービス分割の意思決定について書かれた記事を読みました。
現在の現場では一枚岩のモノリスで運用コストが問題になっています。
その設計判断のプロセスに興味があり、自分も経験したいと思い応募しました」
パターン3:「なぜやめたのですか?」「現在の職場への不満は?」
筆者が実際に詰まったのがこのパターンだ。「使っていた技術が古く、刷新が進まなかった」と正直に答えたところ、面接官の反応が微妙になった。「技術が古い=前の職場への批判・愚痴」 と受け取られるリスクがある。
| NG(本音をそのまま) | OK(ポジティブに言い換え) |
|---|---|
| 技術が古くて将来が不安 | モダンな技術スタックで設計から携わりたい |
| SESで給与が上がらない | 自社プロダクトの成長に直接貢献したい |
| 客先の言いなりで裁量がない | 技術的な意思決定に関わる機会を増やしたい |
言い換えのポイントは「前職を否定する言い方」から「次でやりたいこと」にフォーカスを移すことだ。
「現在の現場ではPHPの安定稼働を維持することが最優先で、
技術的な意思決定に携わる機会が限られていました。
より新しい技術スタックで設計から開発に関わることを目指して転職を決めました」
よく聞かれる技術質問への準備
バックエンドエンジニアの面接で頻出するテーマを整理する。「自分の言葉で説明できる」状態にしておくことが重要だ。
| カテゴリ | 主な質問テーマ |
|---|---|
| 設計・アーキテクチャ | RESTful APIの設計原則(べき等性・HTTPメソッド)/ DBの正規化と非正規化のトレードオフ / キャッシュ戦略(TTL・配置場所)/ マイクロサービス vs モノリス |
| コード品質 | テストの種類と使い分け(Unit / Integration / E2E)/ SOLID原則 / 例外処理の設計(どこで握り潰さないか) |
| インフラ・運用 | Dockerを使う理由 / N+1問題と解決策 / インデックスの仕組みと使いどころ |
コーディングテストの対策
LeetCodeのEasy〜MediumまたはAtCoderのABC(A・B問題)を週2〜3問解く習慣をつければ十分。完璧に解けなくても「どこまで考えたか」「なぜ詰まったか」を説明できれば評価される。
STEP 6:年収交渉で損をしない
内定をもらったとき、最初に提示された金額は470万円だった。当時のSES年収が350万だったので「すごく上がる」という感覚で即受諾しそうになった。担当エージェントに「もう少し交渉しましょう」と止められ、結果的に500万になった。あのとき自分一人で判断していたら30万を捨てていた。
転職時の年収交渉は、多くの人が「言いにくい」と感じて流してしまう。これが一番もったいない。
現年収を基準に交渉しない
SES企業の年収は市場価値より低いことが多い。「現年収450万なので500万で」ではなく、市場価値ベースで要求する。
| やること | 具体的な方法 |
|---|---|
| 市場価値の把握 | 同じ技術スタック・経験年数の求人の年収レンジを確認する |
| エージェントに直接聞く | 「自分の市場価値はいくらか」を率直に尋ねる |
| 競合オファーを活用 | 「他社から○○万のオファーがあります」と伝える |
エージェント経由は年収交渉しやすい
エージェントを使う大きなメリットは、年収交渉の代行だ。エージェントに以下を正直に伝えれば、代わりに企業側と交渉してくれる。
- 現在の年収(正直に)
- 希望年収(少し高めに設定する)
- 年収以外の優先事項(フルリモート希望・技術的成長環境など)
STEP 7:転職活動のタイムライン
「いつ頃に内定が出るのか」が最初は全くイメージできなかった。SES在籍中に活動するため、平日夜と土日だけが動ける時間だ。想定より時間がかかるという前提でスケジュールを組まないと、「もう少し待てば良い求人が出るかも」という先延ばしループにはまる。
実際に動き始めてからオファーまでにかかる期間は、平均3〜4ヶ月だ。
| 期間 | やること |
|---|---|
| Month 1(準備) | スキル棚卸し・STAR法エピソード整理 / GitHub整備・ポートフォリオ作成 / エージェント登録・初回面談 |
| Month 2(書類) | 職務経歴書を書いてエージェントにレビューしてもらう / 10〜15社に書類を出す / カジュアル面談3〜5件(緊張しない練習) |
| Month 3(面接) | 1次〜最終面接を進める / 技術面接対策(設計系・コーディングテスト)/ 週末もGitHubにコミットして活動を止めない |
| Month 4(交渉・入社) | オファーを比較 / 年収・働き方・技術環境のトレードオフを整理 / 内定承諾・退職交渉・引き継ぎ |
退職交渉のタイミングに注意
SESの場合、退職の意思を伝えた後も「あと3ヶ月いてほしい」と言われるケースがある。必ず内定承諾後に退職交渉を始めることを前提に、余裕を持ったスケジュールを組む。
転職後に「よかった」と思ったこと
参考までに、転職してから実感した変化を書いておく。
| 観点 | SES時代 | 転職後(自社開発) |
|---|---|---|
| コードレビュー | ほぼなし or 形式的 | 厳しいが質が高く、すぐ慣れた |
| 設計への関与 | 客先の仕様通りに実装するだけ | 設計・アーキテクチャの議論に参加できる |
| 達成感 | 現場ごとにリセット | 自分のコードがプロダクトに直結する |
| 年収 | 350万円 | 500万円(転職直後)→ 550万円(2年後) |
| キャリアの見通し | 現場が変わるたびに不安 | 自社開発の経験を積み、フリーランス転向の選択肢も見えてきた |
この後、自社開発で2年間経験を積んでからフリーランスへ転向した。フリーランス転向後の年収は1000万円ほどになっている。SES→自社開発→フリーランスという軌跡は「ステップを踏んで市場価値を積み上げる」という意味で、再現性が高いルートだと感じている。
SES脱出のよくある失敗パターン
自分自身もハマったパターンと、Xでよく見かける失敗をまとめる。
| # | パターン | 対策 |
|---|---|---|
| 1 | スキルが足りないと思い込んで動かない | バックエンド経験3年以上あれば市場に出る価値がある。落とされることで何が足りないかがわかる |
| 2 | SESの次もSESに入る | 「常駐あり」「社員全員自社勤務か」を面接で直接確認する。口コミサイトも必ずチェック |
| 3 | エージェントの言いなりになる | エージェントは早期転職でインセンティブが発生する。情報収集と交渉代行に絞り、最終判断は自分でする |
| 4 | 退職を先に決める | 内定後に退職交渉を始める。先に辞めると焦って妥協した転職先を選ぶリスクが高い |
SES偽装求人の見分け方
「自社開発」と書いてあっても実態はSES、という会社がある。以下のチェックリストで確認する。
これが1つでも当てはまる求人は要注意
・「お客様先への常駐あり」「客先での作業あり」という記述がある
・採用ページに具体的なプロダクト名がない
・「エンジニアのご経験を活かす」など曖昧な表現ばかり
・Glassdoor・転職会議で「SES」「常駐」「派遣」という口コミが多い
よくある質問(FAQ)
Q1. SES経験2年でも自社開発に転職できますか?
できる。筆者自身が新卒2年、使用技術はZend Framework 1系という状況で転職し、5社から内定をもらった実例だ。
ただし「業務でモダンな技術を使っていない」という弱点を補う準備が必要になる。個人開発リポジトリをGitHubに出す、STAR法でエピソードを言語化するという2つをやっておけば、書類通過率は大きく変わる。「経験2年は短い」という思い込みで動かないのが一番もったいない。
Q2. ポートフォリオは何個必要ですか?
最低2つ、できれば3つ。筆者は2つで通過した。
重要なのは数よりも「READMEの品質」と「設計の意図を語れるか」だ。完成度が低い5つより、READMEがしっかりしていてアーキテクチャの説明ができる2つのほうが面接での会話になる。「なぜこの設計にしたのか」を30秒で答えられる状態にしておくのが最低ライン。
Q3. 年収交渉はどう切り出せばいい?
エージェント経由なら担当者に任せるのが基本だ。「希望年収は○万円です、他社でこの水準が出ています」という情報を渡すだけでよい。
直接交渉が必要な場合は「他社の内定が出てから」が一番交渉力が生まれるタイミングだ。具体的な言い方としては「御社が第一志望なので、もし○万円に届くようであれば即日お返事できます」という形にすると、相手も動きやすい。逆に「給与を上げてほしい」という言い方だけでは弱い。
Q4. 退職を伝えるタイミングは?
内定承諾後。先に退職を伝えると、焦って妥協した転職先を選ぶリスクが一気に上がる。
SESの場合、「客先常駐先との調整が必要」という名目で退職交渉が長引くことがある。法律上は退職意思から2週間で辞められるが、現実的には1〜2ヶ月の調整期間を見ておく。内定承諾から入社まで2〜3ヶ月かかることも珍しくないので、スケジュール感を転職先にあらかじめ伝えておくとよい。
Q5. SES在籍中に副業しても大丈夫ですか?
就業規則による。「許可制」「禁止」「特に定めなし」の3パターンがある。まず就業規則を確認し、許可制の場合は申請してから動く。
副業の詳細な注意点や確定申告・住民税の対応についてはSESエンジニアの副業完全ガイドに書いている。
Q6. 一度SESに入ったらキャリアパス的に不利ですか?
不利ではない。筆者もSES 2年→自社開発→フリーランスという経路で、今は月収120万(税別)で稼働している。
「SES出身だから評価されない」という話を聞くことがあるが、それは「SES経験があること」が問題なのではなく「経験を語れないこと」が問題だ。同じSES 2年でも、STAR法で実績を言語化できている人と「なんとなく保守をやっていました」の人では、面接の通過率が全然違う。SES経験をマイナスにするかプラスにするかは、準備次第で変わる。
まとめ:今日からできるアクション
SESからの転職は「実績の言語化」と「GitHubの整備」が8割だ。
- スキルシートを書く(30分でできる)
- STAR法でエピソードを1本作る(1時間でできる)
- GitHubのプロフィールを整える(30分でできる)
- エージェントを複数登録して初回面談をする(1社に絞らず比較することが重要)
筆者の場合、「今の環境は悪くないけどこのままでいいのか」という焦りで動いた。その感覚は正しかったと思っている。SES→自社開発の転職はキャリアのリセットではなく、次のステージへの踏み台だ。自社開発で2年経験を積んでからフリーランスへ転向した今、あの転職を起点にキャリアが大きく変わったと実感している。
転職活動を「いつか」と言い続けている間にも、自社開発企業の採用枠は埋まっていく。今の自分の市場価値を知るだけでも、動いてみる価値はある。