SES→自社開発→フリーランスで年収1000万になる方法

フリーランスになりたかったから、最初から大手を選んだ。
これは逆説的に聞こえるかもしれないが、筆者のキャリアは最初からそういう設計だった。新卒でSES企業に入り、2年後に大手求人サービス会社の自社開発エンジニアに転職し、さらに2年後にフリーランスへ転向した。現在は本業と副業を掛け持ちして年収1000万ほどになっている。
「SES→自社開発→フリーランス」という軌跡はよく見かけるが、多くは「SESが辛くて転職し、なんとなくフリーランスになった」という話だ。筆者の場合はそうではなかった。20代のうちにフリーランスで独立するという目標から逆算して、各ステップで何を積むかを意識して動いていた。
この記事では、その設計の全体像と、各ステップでやるべきことを具体的に書く。
この記事でわかること
① SES→自社開発→フリーランスという軌跡が再現しやすい理由
② SES時代に仕込んでおくべき3つのこと
③ 自社開発を「フリーランスへの踏み台」として使い倒す方法
④ フリーランス転向前の準備チェックリスト(事務手続き含む)
⑤ 案件獲得に一番効くのは「人脈」である理由と作り方
この記事の対象読者
- SES企業に在籍中で、将来的にフリーランスを視野に入れているエンジニア
- 自社開発企業に転職済みで、次のキャリアを考えているエンジニア
- フリーランス転向を検討しているが何を準備すればいいかわからない人
- 20〜30代のうちに年収1000万を達成したいエンジニア
逆に、「フリーランスは考えておらず、自社開発への転職だけを考えている」という方は、SES脱出完全ガイドの方が参考になるはずだ。
なぜ「SES→自社開発→フリーランス」が再現性の高い道なのか
キャリアを逆算で設計する
フリーランスエンジニアが高単価案件を継続的に取るために必要なのは、「実績」「スキル」「人脈」の3つだ。この3つはいきなりフリーランスになっても手に入らない。段階的に積み上げる必要がある。
SES企業は「技術の基礎・業務対応力・コミュニケーション力」を鍛える場所として機能する。自社開発企業は「モダンな技術スタック・チームリーダー経験・DevOps知識」という市場価値の高いスキルと、フリーランス転向時に案件を紹介してくれる人脈を作る場所として機能する。この順番で積み上げると、フリーランス転向後に「案件ゼロ・単価低い」というよくある失敗をしにくい。
「直接フリーランスになる」が難しい理由
新卒や経験2〜3年でいきなりフリーランスになることは不可能ではないが、案件単価が低く、クラウドソーシングの消耗戦になりがちだ。実績が薄いと「あなたに任せたい」という信頼を獲得するまでに時間とコストがかかる。
一方、自社開発企業を経てからフリーランスになると、「○○社でチームリーダーをやっていた」という具体的な実績と**「あの人なら信頼できる」という人脈**の両方が手元にある状態でスタートできる。この差は最初の案件単価と案件獲得速度に直結する。
STEP 1:SES時代に仕込んでおくべきこと
SESの環境は「悪い」とは限らない
よくある「SES脱出記事」は「SESはブラックで辛かった」という前提で書かれることが多い。筆者の場合はそうではなかった。
PHPとZend Framework 1系でWebシステムの開発・運用をする現場で、お客さんのITリテラシーが高く、デスマーチとは無縁だった。ベトナムの開発ベンダーとの協働など、純粋な技術以外の経験も積めた環境だ。
問題は環境ではなく、技術の停滞だった。そのシステムは7年選手のレガシーで、Zend Framework 1系。技術刷新の合意はあったが、大規模改修になると分かった途端に話が毎年先送りになった。2年たって「このまま自分の技術が止まっていていいのか」という焦りで転職を決めた。
SES環境が良い・悪いではなく、**「自分の技術が市場価値を持つ方向に積み上がっているか」**という視点で現場を評価することが重要だ。
居心地の良さと市場価値は別軸で評価する
「今の現場は居心地がいいから」という理由で、技術が止まったまま3〜4年が経つのが最も危険なパターンだ。居心地の良さと市場価値の向上は別軸で評価する必要がある。
SES時代にやるべき3つのこと
フリーランスを見据えてSES時代に仕込んでおくべきことは以下の3つだ。
| やること | 理由 | 具体的な行動 |
|---|---|---|
| 技術の汎用化 | 業務固有のスキルは転職・FL転向で評価されない | 業務で使っている技術を個人プロジェクトで再現する |
| GitHub整備 | 実績の「見える化」が転職・案件獲得に直結する | ポートフォリオリポジトリを2本以上公開する |
| 外部コミュニティへの参加 | SES内だけでは人脈が形成されない | 勉強会・connpassに月1回以上参加する |
特に外部コミュニティへの参加は、SES在籍中からやっておくかどうかで、フリーランス転向後の案件獲得速度が大きく変わる。 後述するが、筆者のフリーランス転向後の案件は現在に至るまですべて人脈経由だ。SES時代から外部の人と繋がる習慣をつけておくことは、後で大きく効いてくる。
自社開発への転職準備
SESから自社開発への転職活動についてはSES脱出完全ガイドで詳しく解説しているため、そちらを参照してほしい。筆者の場合は2ヶ月・10社応募・5社内定という結果だった。使ったエージェントはレバテックキャリア1社で、「複数使えばよかった」という反省がある。
SES→自社開発の転職相談をする →
STEP 2:自社開発を「フリーランスへの踏み台」として使い倒す
大手を選んだ本当の理由
筆者が転職先として大手の求人サービス会社を選んだのには、明確な理由がある。フリーランスになったときの実績と人脈を作るためだ。
フリーランスエンジニアにとって「○○社で開発をしていた」という実績は、案件獲得の際の信頼材料になる。有名なサービスや大手企業の開発経験は、クライアントに対して「この人はちゃんとした開発ができる人だ」というシグナルになる。
また大手であればあるほど、業務委託のエンジニアと一緒に働く機会が多く、自然と外部の人脈が形成される。 これが後のフリーランス生活の土台になる。
「大手に入りたい」と思っていたのではなく、「フリーランスになるための足場として大手が最適だった」という感覚だ。
1年でチームリーダーになるまで
入社後1年目はSEO関連の開発チームで開発メンバーとして動いた。LaravelやNewRelic・Terraformなど、SES時代に使っていなかった技術スタックへのキャッチアップをしながら、プロダクトの全体像を把握することに注力した。
2年目に新規機能開発チームのチームリーダー兼DevOpsエンジニアとして動くことになった。チームは正社員3名・業務委託4名の計7名構成だった。
このチームリーダー・DevOps経験は、フリーランス転向後に想像以上に効いた。「マネジメント経験がある」「インフラも含めて設計できる」という実績は、単なる開発者としてではなく**「プロダクトの方向性を理解して上流から動けるエンジニア」**として評価される。高単価な案件はこういうエンジニアを求めていることが多い。
業務委託メンバーとの協働が人脈になる
チームに業務委託メンバーが4名いたことは、当時は特別意識していなかったが、今思えば非常に重要だった。業務委託の人たちは、すでにフリーランスとして動いているエンジニアだ。 彼らとの仕事を通じて「こういう案件の取り方がある」「このエージェントは使える」「こういうスキルが単価に直結する」という生きた情報が自然と入ってきた。
さらに自分がフリーランスになったとき、「あの会社でちゃんと仕事していた人」という評判が先に回る。筆者が副業として受けているSaaSセキュリティプロダクトの案件は、まさに自社開発時代の人脈経由だ。
業務委託メンバーを「外注」として見ない
業務委託のメンバーを「お願いする相手」として見るのではなく、「先にフリーランスになっている先輩」として接することで、自然と人脈が広がる。退職後も連絡を取り合える関係を作っておくことが、後の直受け案件につながる。
自社開発で積むべきスキルセット
フリーランス転向を見据えて、自社開発時代に積んでおくとよいスキルを整理する。
| スキルカテゴリ | 具体的なスキル | フリーランスでの価値 |
|---|---|---|
| バックエンド | モダンFW(Laravel / Rails / FastAPI 等)/ API設計 / DB設計 | 案件のコアスキルとして直接評価される |
| インフラ・DevOps | Terraform / Docker / GitHub Actions / 監視(NewRelic / Datadog) | 単価を大きく上げる専門性 |
| マネジメント | チームリーダー / 業務委託への指示・レビュー / 要件定義 | 上流案件・高単価案件への参入条件 |
| コミュニケーション | 非エンジニアへの技術説明 / 要件のすり合わせ | 直受け案件で特に重要 |
DevOpsスキル(特にTerraformやIaC)は単価差が大きい領域だ。実践的な使い方についてはTerraform × AWS IaC入門ガイドも参照してほしい。
STEP 3:フリーランス転向の準備チェックリスト
いつ転向するか
筆者が転向を決めたのは「20代のうちに挑戦したかった」という理由が大きい。20代であれば、仮に失敗してもやり直しがきく。 正社員に戻る選択肢も残りやすい。
実際、自社開発企業を退職した後も「うちに来ないか」という声をもらっている。これはフリーランスとして安心して挑戦できる精神的な支えになっている。リスクを取るためには「最悪の場合に戻れる場所がある」という安心感が必要だ。 その安心感は、現場で結果を出して信頼を積み上げた人だけに与えられるものだ。
フリーランスに転向するタイミングの目安:
| 条件 | 理由 |
|---|---|
| 自社開発で2年以上の実績がある | 「○○社で開発していた」という信頼材料になる |
| 人脈から案件の紹介が1件以上見込める | ゼロからのスタートにならない |
| 生活費6ヶ月分以上の貯蓄がある | 案件獲得まで数ヶ月かかることも |
| 正社員に戻れるオファーが1社以上ある | 精神的な安全網として機能する |
転向前に済ませる事務手続き
技術的な準備以外に、事務手続きが意外と手間どる。筆者が実際にやったことを整理する。
最初の案件はエージェント経由で取る
筆者がフリーランス転向直後に使ったのはフリーランスエージェントだ。人脈から直受けできれば理想だが、最初はエージェント経由で実績と収入の安定を確保しながら、並行して直受けへの移行を目指すのが現実的だ。
フリーランスエージェントを選ぶポイント:
| ポイント | 理由 |
|---|---|
| ITエンジニア専門であること | 担当者が技術スタックを理解している |
| 非公開案件が多いこと | 良い案件ほど非公開になりやすい |
| マージンが透明であること | 20〜30%が相場。不透明なエージェントは避ける |
| 週3〜4日案件があること | 複数案件を掛け持ちしたい場合に必要 |
Midworksで案件を探す →
STEP 4:フリーランスになってからの現実
案件獲得は「人脈」が最強
筆者が現在担当している案件は2つある。
- 本業:新卒で入ったSES会社からの直受け案件
- 副業:自社開発企業時代に人脈で紹介してもらったSaaSセキュリティプロダクトの開発
この2つに共通するのは、いずれもエージェントではなく人脈経由という点だ。
SES企業の案件を直受けしているのは特徴的かもしれないが、「新卒でお世話になった会社で結果を出していた」という信頼が退職後も続いている形だ。エージェントと比較すると中間マージンがないため、同じ稼働でも手取りが大きくなる。
「今いる現場で結果を出す」ことが、そのままフリーランスの案件獲得につながる。 これがフリーランスを10年続けられるエンジニアとそうでないエンジニアの最大の差だと感じている。
副業・フリーランスの案件獲得の具体的な方法についてはバックエンドエンジニアのフリーランス完全ガイドも参考にしてほしい。
勉強会・外部コミュニティの重要性
人脈は「現場で仕事をする」だけでは広がらない。社外の勉強会や技術コミュニティに参加することで、職場とは別の人脈が生まれる。
特に勉強会で知り合った人が後に「うちのプロジェクトで手伝ってほしい」と声をかけてくることは珍しくない。エンジニアとしての評判は、技術力だけでなく「あの人と仕事したい」という信頼で決まることが多い。connpassやGitHubのコントリビューションを通じて、自分の名前を業界に広めておくことが、中長期的に案件獲得コストを下げる。
確定申告と節税は最初が一番辛い
フリーランスになって最初に大変だと感じたのが確定申告だった。最初は税理士をつけずに自分でやったが、どの経費が認められるか、帳簿をどうつけるかを一から調べながらの作業は想像以上に時間がかかった。
フリーランスエンジニアが経費として計上できるもの:
| 経費の種類 | 具体例 |
|---|---|
| 通信費 | 自宅の光回線・スマートフォン(按分) |
| 機器費 | PC・モニター・キーボード等 |
| 書籍・学習費 | 技術書・Udemy・勉強会参加費 |
| 交通費 | クライアント訪問・勉強会への移動 |
| 家賃(在宅の場合) | 仕事に使う部屋の割合分を按分 |
| ソフトウェア | IDE・クラウドサービス・SaaSツール |
帳簿管理はクラウド会計ソフトを使うのが必須だ。レシートをスマホで撮影するだけで自動仕訳してくれる機能があるので、最初から使い始めることを強くすすめる。
freeeで帳簿管理を始める →
年収1000万への道:単価と稼働の設計
フリーランスエンジニアの年収構造
フリーランスエンジニアの年収は、月単価 × 稼働月数 × 案件数で決まる。年収1000万は月額約83万円を12ヶ月稼働させれば達成できる計算だが、複数案件を組み合わせると安定性も上げられる。
| 働き方 | 月単価目安 | 年収目安 |
|---|---|---|
| 週5フル稼働(1案件) | 85〜90万 | 1,020〜1,080万 |
| 週4(本業)+ 週1(副業) | 本業70万 + 副業20万 | 1,080万 |
| 複数案件の組み合わせ | 案件によって変動 | 上限なし |
筆者の場合は本業と副業の組み合わせで年収1000万ほどになっている。複数案件を持つことは収入の安定化にもなる——1案件が終了しても、もう一方が継続していれば収入がゼロになるリスクを下げられる。
スキルと単価の関係
バックエンドエンジニアとして単価を上げるためのスキル優先度:
| スキル | 単価への影響 | 理由 |
|---|---|---|
| Terraform / IaC | 大きい | 需要の割にできるエンジニアが少ない |
| AWS(マルチサービス設計) | 大きい | インフラ込みで動けるエンジニアは重宝される |
| チームリーダー / PM経験 | 大きい | 上流から入れる=単価が上がる |
| セキュリティ | 大きい | 2026年以降、需要が加速している |
| モダンFW(Laravel / Rails 等) | 中程度 | 市場価値として標準的 |
フリーランス転向でよくある失敗パターン
失敗1:実績なしで転向する
「フリーランスは自由そう」というイメージだけで転向すると、低単価のクラウドソーシング案件を取り続けることになる。最低でも自社開発で2年、できればリーダー経験やDevOpsの実績を積んでから転向することをすすめる。
失敗2:エージェントだけに頼り続ける
エージェントは最初の足がかりとして優秀だが、マージンが20〜30%かかる。ずっとエージェント依存だと手取りが増えにくい。エージェントで実績を積みながら、並行して人脈からの直受けに移行することを目標に動くことが重要だ。
失敗3:税務・経理をなめる
確定申告の手間を甘く見ていると、3月の申告シーズンに地獄を見る。クラウド会計ソフトを使って、日常的に帳簿をつける習慣を最初からつけること。収入が安定したら税理士への依頼も検討するとよい。
失敗4:スキルアップを止める
フリーランスになると「案件をこなすだけ」で時間が消えやすい。しかし技術は止まると陳腐化する。フリーランスになった後こそ、継続的な学習が単価維持・向上に直結する。 勉強会参加はスキルアップと人脈形成を同時にできる投資だ。
よくある質問(FAQ)
Q. 自社開発の経験が1年しかないがフリーランスになれるか?
A. 技術的には可能だが、単価は低くなる傾向がある。チームリーダーや設計・DevOps経験がなければ、先に自社開発でもう1〜2年積むことをすすめる。
Q. 副業から始めてフリーランスになることはできるか?
A. できる。むしろ正社員のうちに副業案件を1本取って感覚を掴んでおくと、フリーランス転向後の不安が大きく下がる。ただし会社の副業禁止規程は必ず確認すること。
Q. 地方在住でもフリーランスで年収1000万は可能か?
A. 2026年現在、フルリモートのフリーランス案件は多い。東京の案件をリモートで受けられるため、地方在住のデメリットは以前より小さくなっている。
Q. フリーランスになって後悔したことはあるか?
A. 筆者の場合、後悔はない。ただし確定申告の手間と、健康保険・年金の自己負担が増えることは事前に把握しておくべきだった。会社員時代より社会保険料の負担が増える点は、フリーランスの年収から逆算して手取りを計算しておくことが必要だ。
Q. フリーランス転向後に正社員に戻ることはできるか?
A. できる。筆者自身、現在でも「うちに来ないか」という声をもらっている。自社開発での実績がある人間は、フリーランス後も採用市場での評価は下がらない。「失敗したら戻れる」という安心感があるからこそ、思い切って転向できる。
まとめ:今日からできるアクション
「SES→自社開発→フリーランスで年収1000万」は偶然起きることではない。各ステップで何を積むかを意識して動くことで、再現できる道だ。
今日からできるアクションをステップ別にまとめる。
SES在籍中の人へ
- 現在の技術スタックを汎用スキルとして個人プロジェクトで再現する
- GitHub整備を始める(プロフィール+ポートフォリオ2本)
- connpassで勉強会を1件探して参加してみる
自社開発エンジニアへ
- 「チームリーダー」か「DevOps担当」のどちらかに手を挙げる
- 業務委託メンバーとの関係を人脈として意識する
- フリーランスエージェントに1社登録して、単価感を把握しておく
フリーランス転向を検討している人へ
- 事業用クレジットカードを今すぐ申し込む(正社員のうちに)
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