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フリーランスエンジニアの確定申告・節税完全ガイド

2026.05.2537 min read
フリーランスエンジニアの確定申告・節税完全ガイド

2024年5月にフリーランスに転向し、初めて確定申告を経験したのは2025年の頭だった。

freeeを使っていたので書類自体は乗り切れた。しかし申告が終わってから「この一年、節税を何もやっていなかった」という事実に気づいた。iDeCoも、小規模企業共済も、ふるさと納税も——全部ゼロ。バックエンドエンジニアは経費が少なく、所得がそのまま高くなりやすい。節税対策をしていれば数十万円は変わっていた計算だ。

この記事では、初年度の確定申告で実際に困ったことと、2年目以降に実践している節税対策を全部書く。「フリーランス転向したばかり」「これから確定申告がある」という人に、自分が最初から知っていれば良かったことを伝えるつもりで書いた。

この記事でわかること
① 会社員とフリーランスの税金構造の違いと、毎月の取り分け計算の考え方
② freeeを選んだ理由と、確定申告の基本フロー
③ 初年度に詰まった3つのポイント(減価償却・インボイス・老後資金)
④ フリーランスエンジニアにおすすめの節税4選と実際の金額
⑤ iDeCo・小規模企業共済・SBI証券を使った老後資金の設計

対象読者

  • フリーランスに転向したばかりで確定申告が初めての人
  • 副業収入が増えてきて、確定申告をどうするか迷っている人
  • 確定申告は乗り切ったが、節税を何もしていない人
  • フリーランス転向後の老後資金・資産形成の設計をしたい人

フリーランスの税金構造:会社員との決定的な違い

会社員は「自動」、フリーランスは「手動」

会社員のとき、税金のことをほとんど意識しない人は多い。毎月の給与から所得税・住民税・社会保険料が自動で天引きされ、年末調整で過不足が精算される仕組みだからだ。

フリーランスになった瞬間、この「自動」がすべて「手動」に変わる。

  • 所得税 → 翌年3月に確定申告で一括納付
  • 住民税 → 翌年6月から分割または一括納付
  • 国民健康保険 → 前年所得に基づいて毎年7月頃に通知
  • 国民年金 → 毎月納付(または前払い)
  • 消費税 → 売上1,000万超または課税事業者登録後に納付義務

フリーランス1年目に一番ショックを受けるのが「翌年の6月に住民税の請求が来る」パターンだ。会社員時代は天引きされていて存在を忘れていた住民税が、フリーランスになった翌年に普通徴収で一括または4回分割で来る。備えていないと口座がかなり痛い。

フリーランスが管理すべき税金と社会保険の全体像

フリーランスが管理する税金・社会保険の全体像
売上
請求書発行した全額
経費を引く
PC・通信費・書籍等
所得
売上 − 経費
所得
税金・社会保険
所得税 / 住民税 / 国保 / 国民年金 / 消費税
手取り
実際に使えるお金

この「所得 → 税金・社会保険 → 手取り」の計算が、フリーランス初年度で最もわかりにくいポイントだ。


最初にすべきこと:毎月「いくら取り分けるか」を決める

税金の取り分けができていないと確定申告が地獄になる

フリーランス1年目で最初に実感したのは「毎月の売上から税金分を別口座に移しておかないと、確定申告のタイミングで資金ショートする」ということだ。

会社員は毎月天引きされているので残高イコール使えるお金だが、フリーランスの口座残高の中には「後で払う税金」が混在している。これを分けて管理しないと、3月・6月・8月の税金支払い時に慌てることになる。

取り分けの目安は売上の30〜35%

年収・経費・節税対策の状況によって変わるが、一般的な目安は以下の通りだ。

年収(売上)取り分けの目安内訳(概算)
〜500万売上の25〜30%所得税5〜10% + 住民税10% + 国保5〜10%
500〜800万売上の30〜35%所得税10〜20% + 住民税10% + 国保
800〜1,200万売上の35〜40%所得税20%超 + 住民税10% + 消費税

この計算を毎月リアルタイムでやるのは面倒なので、自分はWebアプリを個人開発して解決した。売上・経費・節税額を入力すると「今月使っていい金額」と「積み立て目標」が自動計算される仕組みだ。詳しくはフリーランス税金管理ツールを作った話を参照してほしい。


freeeで確定申告:選んだ理由と実際の使い方

freeeを選んだ3つの理由

確定申告のツールはfreeeとマネーフォワードクラウドが二大勢力だ。自分がfreeeを選んだ理由は3つある。

1. ユーザーが多いので情報が豊富

これが一番大きかった。確定申告の操作で詰まったとき、「freee 減価償却 やり方」と検索すれば大量の解説記事がヒットする。マネーフォワードも情報は多いが、freeeのほうが個人事業主の利用者が多い印象で、ニッチな操作の解説記事が見つかりやすかった。

2. UIが直感的で使いやすかった

マネーフォワードとUIを比較したとき、freeeのほうが初心者にわかりやすいと感じた。特に確定申告の書類作成ウィザードが段階的に案内してくれる形式で、初めての申告でも迷わずに進められた。

3. 税理士紹介・副業案件紹介などの周辺サービス

freeeは会計ソフト単体ではなく、確定申告に強い税理士の紹介や、副業案件の紹介サービスも展開している。今後収入が増えて税理士に依頼するタイミングが来たとき、freeeのエコシステムの中で完結できるのは便利だと感じている。

freeeを使ってみる →

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freee vs マネーフォワードの選び方

どちらを選ぶかは以下の観点で判断するとよい。

観点freeeマネーフォワード クラウド
初心者向け◎ ウィザード形式で直感的○ 機能は豊富だが慣れが必要
情報量(ネット)◎ 個人事業主の情報が多い○ 法人向けの情報も多い
銀行・カード連携○ 主要銀行に対応◎ 連携数が多い
周辺サービス◎ 税理士紹介・副業案件紹介○ 税理士紹介あり
料金個人:980円〜/月個人:880円〜/月

どちらでも確定申告はできる。「迷うくらいなら情報が多いfreeeでいい」というのが結論だ。

マネーフォワード クラウドを見る →

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確定申告の基本フロー(freee使用の場合)

確定申告 年間タイムライン
1〜12月
日常の帳簿入力
売上・経費をfreeeに都度入力
レシートをスマホで撮影 → 自動仕訳
銀行口座・クレカを連携して自動取込
1月
年末調整・準備
前年の帳簿を最終確認・整理
取引先から支払調書を受け取る
医療費・ふるさと納税の領収書をまとめる
2〜3月
確定申告提出
freeeで申告書を作成(ウィザード形式)
e-Taxで電子申告(マイナンバーカード必要)
3月15日が申告・納付期限

初年度に困ったこと3選(実体験)

1. 減価償却のやり方がわからなかった

フリーランスになるタイミングでPC・モニターなどを購入した場合、10万円以上の備品は一括で経費にならず「減価償却」という形で数年に分けて費用計上する仕組みがある。

初年度はこれを完全に見落としていた。「PCを30万円で買ったのに、今年の経費は10万円しか計上できない?」という感覚になる。

減価償却の基本を整理する。

購入価格扱い
10万円未満購入年に全額経費計上できる
10〜30万円未満「少額減価償却資産の特例」(青色申告者限定)で全額経費にできる
30万円以上法定耐用年数に従って分割計上(PCは4年)

青色申告者であれば30万円未満のPCは一括経費にできる。これを知らないと帳簿処理を間違える。freeeの場合は資産登録画面で「少額減価償却資産」を選ぶだけで処理してくれる。

青色申告の承認申請は開業届と同時に出す
開業届を出す際に「青色申告承認申請書」も同時提出すること。これがないと青色申告(65万円控除・少額減価償却特例)が使えない。忘れた場合でも、その年の3月15日までに提出すれば当年から使える。

2. インボイス登録をどうするか

消費税のインボイス制度(適格請求書等保存方式)が2023年10月に開始してから、フリーランスになるタイミングで必ず直面する問いが「インボイス登録をするかどうか」だ。

登録しない場合:取引先は消費税の仕入税額控除ができない。取引先が大企業の場合「登録してほしい」と言われるケースがある。

登録する場合:消費税を申告・納付する義務が生じる。売上の10%が税務署に持っていかれる形になる。ただし税額控除や簡易課税制度を使うことで実際の負担は軽減できる。

自分はフリーランス転向後2年目の現在も登録していない。人脈経由で直接案件を受けているため、クライアントから「インボイス登録してくれないなら契約しない」という圧力がなかった。エージェント経由の案件よりも直受けの案件の方がインボイス登録の要求が出にくい傾向があると感じている。

ただし、売上が1,000万円を超えると翌々年から自動的に課税事業者になるため、その時点でインボイス登録もあわせて行う予定だ。

インボイス登録の判断基準

状況推奨
クライアントが大企業・上場企業登録を求められる可能性が高い → 登録推奨
人脈経由の直受け案件のみ登録しなくても契約継続できるケースが多い
売上が1,000万円超え見込みどうせ課税事業者になるので登録しておく
売上が1,000万円未満で免税事業者を維持したい登録しない選択も有効

3. 老後資金をどう積み立てるか

会社員時代は厚生年金に加入していたため「老後は会社が半分負担してくれる」状態だったが、フリーランスになると国民年金のみになる。厚生年金と国民年金の受給額の差は老後に大きく響く。

この問題に初年度は全く手を打てなかった。「とにかく確定申告を乗り切ることで精一杯」という状況で、老後のことを考える余裕がなかったのが正直なところだ。

しかし早く始めるほど有利なのが老後資金の積み立てだ。2年目からはiDeCo・小規模企業共済・証券口座での投資を組み合わせて対策を始めた。詳細は後のセクションで解説する。


フリーランスエンジニアの節税4選

フリーランスエンジニアは会社員と比べて経費にできるものが少ない。PC・通信費・書籍・学習費くらいで、製造業のような材料費や仕入れコストがないため、所得がそのまま高くなりやすい。だからこそ節税対策を意識的にやらないと税負担が重くなる。

1. 青色申告65万円控除(必須)

確定申告には「白色申告」と「青色申告」の2種類がある。フリーランスであれば青色申告一択だ。

種類控除額帳簿の種類
白色申告なし簡易的な収支記録でOK
青色申告(10万控除)10万円簡易帳簿
青色申告(65万控除)65万円複式簿記 + e-Tax提出

freeeやマネーフォワードを使えば複式簿記の帳簿を自動生成してくれるため、65万円控除を取るための「複式簿記」は実質ソフトが対応してくれる。年収800万円のフリーランスが65万円控除を受けると、所得税率20%のケースで約13万円の節税になる。

やらない理由がない。

2. iDeCo(個人型確定拠出年金)

iDeCoは掛け金が全額「所得控除」になる。つまり払った分だけ課税所得が減り、その分の所得税・住民税が安くなる仕組みだ。

フリーランス(国民年金第1号被保険者)の場合、月の上限は68,000円だ。

月の掛け金年間の所得控除所得税率20%の場合の節税額
2万円24万円約4.8万円
5万円60万円約12万円
6.8万円(上限)81.6万円約16.3万円

自分は月5万円をiDeCoに掛けている。節税になりながら老後資金も積み立てられる一石二鳥の制度だ。60歳まで引き出せないという制約があるが、フリーランスのうちにやっておくべき節税対策の筆頭だ。

注意点として、iDeCoの掛け金は運用次第で損失が出る可能性もある。ローリスクな商品(定期預金・債券系)から始め、余裕があればインデックスファンドを組み合わせる形が無難だ。

3. 小規模企業共済(フリーランスの退職金制度)

小規模企業共済は「中小機構」が運営する、フリーランス・個人事業主向けの退職金制度だ。掛け金が全額「所得控除」になる点はiDeCoと同じだが、解約時に受け取れる「退職所得」として課税が非常に有利という特徴がある。

月の掛け金年間の所得控除所得税率20%の場合の節税額
3万円36万円約7.2万円
7万円(上限)84万円約16.8万円

自分は月7万円(上限)を掛けている。iDeCoと小規模企業共済を合わせると、毎月12万円が所得控除になる計算だ。

iDeCoと小規模企業共済の違い
iDeCoは「投資」として運用するが、小規模企業共済は「貯蓄」に近い性質。事業が軌道に乗ったら両方使いたい。ただし両者を合計すると毎月の固定支出が大きくなるため、手元流動性を確保した上で掛け金を設定すること。

4. ふるさと納税

ふるさと納税は「実質2,000円の自己負担で特産品がもらえる」仕組みだ。フリーランスで所得が高くなると控除上限額も上がるため、積極的に活用するべきだ。

課税所得ふるさと納税の控除上限(目安)
300万円約2.8万円
500万円約5.2万円
700万円約8.3万円
1,000万円約13.4万円

フリーランス1年目は確定申告の前年に住民税額が確定していないため、控除上限を正確に計算しにくいという問題がある。確定申告後に「ふるさと納税ワンストップ特例」が使えない(確定申告をしている人は確定申告でまとめて処理する必要がある)点も覚えておきたい。

ふるさと納税のポータルサイトは複数あるが、さとふるは返礼品の種類が豊富でユーザーが多く、使い方の情報も見つけやすい。


老後資金・資産形成の設計

フリーランスは「自分で年金を作る」意識が必要

会社員が受け取れる年金は「老齢基礎年金(国民年金)+ 老齢厚生年金」の2階建て構造だ。フリーランスは「老齢基礎年金のみ」の1階建てになる。

現在の国民年金の受給額(満額)は年約80万円だ。会社員の厚生年金と合わせた受給額との差は、長年フルタイムで働いた場合で月10〜15万円程度になることも多い。

この差を埋めるために、フリーランスは自分で「3階部分」を作る必要がある。

筆者の現在のポートフォリオ(月次)

手段月額性質節税効果
iDeCo5万円運用(インデックス中心)所得控除(大)
小規模企業共済7万円貯蓄型所得控除(大)
SBI証券(オルカン)10万円運用(長期)なし(NISA枠で非課税)
プルデンシャル生命(積立型)5万円保険+貯蓄なし
合計27万円

月27万円を長期積立に回している。「老後に不安がない状態」を作るために、フリーランス転向後の比較的早いタイミングでこの設計を組んだ。

SBI証券でオルカン積立を始める方法

NISA口座を使ったインデックス投資は、フリーランスの資産形成の柱として最も効率が良い選択肢の一つだ。

  • つみたてNISA(現行NISA成長投資枠):年間360万円まで非課税で運用できる
  • オールカントリー(全世界株式インデックス):1本で世界中の株式に分散投資できる
  • 手数料の安いインデックスファンドを選ぶ:eMAXIS Slim全世界株式など信託報酬0.06%前後のものが候補

SBI証券はネット証券の中でも手数料の安さと取り扱いファンドの豊富さで定評がある。まだ証券口座を持っていない場合は早めに開設しておくことをすすめる。

証券口座は正社員のうちに開設しておく
SBI証券に限らず、証券口座の審査は安定した収入があるほど通りやすい。フリーランス転向後でも開設はできるが、審査が厳しくなるケースがある。クレジットカードと同様、証券口座も会社員のうちに作っておくとスムーズだ。


税理士をつけるべきタイミング

確定申告を自分でやるか税理士に依頼するかは、収入規模・時間コスト・複雑さによって変わる。

状況判断理由
年収500万円以下、経費がシンプル自分でやるfreeeで対応可能、費用対効果が低い
年収500〜800万円、節税対策を始めた迷いどころ税理士相談で節税案を引き出すのはあり
年収800万円超税理士推奨節税額 > 税理士費用になりやすい
法人化を検討税理士必須法人税・社会保険設計は専門家が必要
インボイス + 消費税申告が発生税理士推奨計算が複雑になる

税理士を探す場合は、フリーランスエンジニアの申告に慣れている事務所を選ぶことが重要だ。フリーランスエンジニア特有の経費(クラウドサービス費用・SaaS、技術書など)を理解している税理士のほうが、経費認定の範囲が広くなる傾向がある。

税理士ドットコムで税理士を探す →

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フリーランス初年度でよくある失敗パターン

失敗1:節税ゼロで申告する

初年度はiDeCo・小規模企業共済の申し込みが間に合わず、ふるさと納税もせずに申告するケースが多い。転向した年のうちに最低限ふるさと納税だけでもやっておくべきだった。

失敗2:税金の取り分けをしていない

確定申告で想定外の納税額が来て資金ショート、というのがよくあるパターンだ。売上の30〜35%を別口座に移す習慣を最初からつけること。

失敗3:クラウド会計ソフトを使わない

紙や手計算で帳簿をつけようとすると、確定申告時期に膨大な時間がかかる。freeeかマネーフォワードを最初から使い、銀行・カードと連携させて日常的に自動仕訳しておくのが正解だ。

失敗4:インボイス登録の判断を後回しにする

「よくわからないから後で考える」と後回しにしていると、クライアントから急に求められて焦るケースがある。取引先の状況(大企業か個人か、直受けか否か)を踏まえて早めに判断しておくべきだ。


まとめ:今日からできるアクション

フリーランスの税金・確定申告・節税は「やることが多い」ように見えるが、最初のセットアップさえ済ませてしまえばルーティンになる。

今すぐやるべきこと

  1. freeeまたはマネーフォワードに登録する(まだの場合)
  2. 青色申告承認申請書を税務署に提出する(開業届と同時に)
  3. 毎月の売上から30〜35%を別口座に移す習慣をつける

最初の確定申告が終わったらやること

  1. iDeCoを開設する(月2万円からでも早く始めるほど有利)
  2. 小規模企業共済を申し込む(フリーランスの退職金制度として)
  3. ふるさと納税をする(実質2,000円の自己負担で返礼品がもらえる)
  4. NISA口座を開設してインデックス投資を始める

年収が増えてきたらやること

  1. 税理士への相談を検討する(節税額 > 費用になるタイミングで)
  2. インボイス登録の要否を判断する(課税事業者になるタイミングで)

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フリーランスエンジニアのキャリア戦略全体についてはSES→自社開発→フリーランスで年収1000万になる方法も参考にしてほしい。副業・複数案件での収入設計についてはバックエンドエンジニアのフリーランス完全ガイドも参照してほしい。