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フリーランスの法人化シミュレーター|手取りの差を試算する

2026.09.1530 min read

「そろそろ法人化したほうがいいのでは」——フリーランスとして売上が積み上がってくると、一度はよぎる考えだ。SNSや会計事務所のブログを見ると「年収900万円が目安」「利益800万円を超えたら」といった数字がいくつも出てくるが、正直どれも自分の状況にそのまま当てはまるとは思えなかった。

役員報酬をいくらにするか、社会保険にいくら払うことになるか、均等割はどれくらい効いてくるか——これらを組み合わせて初めて「自分の場合はどうか」がわかる。逆に言えば、この組み合わせを計算しない限り「法人化すべきか」は答えが出ない。

そこで、年間売上と年間経費を入れるだけで個人事業主のままの場合と法人化した場合の手取りを並べて試算できるシミュレーターを作った。この記事では、その使い方と、試算結果をどう読むかを解説する。

この記事の対象読者

  • 個人事業主として売上が伸びてきて、法人化のタイミングを具体的に検討している
  • 「法人化すると得」という話を聞いたことはあるが、自分の数字で試算したことがない
  • 均等割・社会保険料など、法人化で新たに発生するコストを整理して理解したい
  • 税理士に相談する前に、自分でざっくり数字の当たりをつけておきたい

この記事でわかること/わからないこと
シミュレーターは「税・社会保険料の負担がどちらが軽いか」の概算を出すものであり、 最適な役員報酬額や具体的な会社設立の手続きを教えるものではない。 また筆者は税理士ではないため、本記事は税務相談ではない。実際の判断は税理士に確認してほしい。

個人事業主と法人、何が違うのか

法人化(法人成り)とは、個人事業主として行っていた事業を株式会社や合同会社に移し、自分はその会社の役員(多くの場合は代表取締役)として役員報酬を受け取る形に切り替えることだ。

ざっくり言うと、次のような変化が起きる。

項目個人事業主法人化後
稼いだお金の扱い事業所得としてそのまま課税会社の利益と、そこから受け取る役員報酬に分かれる
かかる税金所得税・住民税・個人事業税個人側(所得税・住民税)+会社側(法人税・法人住民税・法人事業税)
社会保険国民健康保険・国民年金健康保険・厚生年金(役員でも加入義務あり)
赤字の年税負担はほぼゼロになる均等割(後述)は赤字でもかかる
決算・申告確定申告(比較的シンプル)決算・法人税申告(複雑。税理士に外注するのが一般的)

「所得を会社の利益と役員報酬に分けられる」ことが法人化の最大のポイントだ。分けることで、それぞれに別の税率・控除がかかるようになり、結果として税負担の合計が個人事業主のままより軽くなることがある。ただし、それは必ずではない。売上・経費の規模、役員報酬の設定次第で、逆に負担が重くなるケースも普通にある。

法人化を考えるタイミングの目安

法人化のタイミングとしてよく言われる目安をいくつか紹介する。ただし、どれも「その基準を超えたら自動的に得になる」という単純な話ではない点に注意してほしい。

よく言われる目安理由
課税所得(利益)が800万円を超えた所得税の税率が法人税の実効税率を上回り始める水準
売上が1,000万円を超える見込みがある消費税の課税事業者になるタイミングと重なりやすい
取引先から法人でないと契約できないと言われた損得ではなく契約上の制約
社会保険に加入したい個人だと国保・国民年金のみだが、法人化すれば厚生年金に加入できる
融資や資金調達を考えている法人のほうが金融機関の評価を得やすい場合がある

このうち、数字だけで判断できるのは最初の2つだけだ。残りの3つは損得計算とは別軸の理由であり、「試算では個人事業主のままが有利」という結果が出ても、法人化を選ぶ理由になり得る。この記事後半の「よくある誤解」でも改めて触れる。

シミュレーターの使い方

年間売上・年間経費・(任意で)役員報酬の3つを入力するだけで、個人事業主のまま続けた場合と法人化した場合の手取りを並べて試算できる。

  • 年間売上: 消費税を除いた金額
  • 年間経費: 役員報酬や社会保険料を除いた、通常の事業経費
  • 役員報酬(任意): 空欄のままにすると、税・社会保険料の合計が最小になる額を自動で探して計算する

役員報酬を空欄にしたときの自動計算は「損得だけを見た最適値」であり、生活費として現実的な金額とは限らない。実際は「月々いくらあれば生活できるか」から役員報酬を先に決め、その金額を入力し直して再計算するのがおすすめだ。

Simulator
法人成りシミュレーター
2026年(令和8年)時点の制度で試算した概算です。 実際の判断は税理士に確認してください。
万円
消費税を除いた額
万円
役員報酬・社会保険料を除く
万円
未入力なら手取り合計が最大になる額を自動で探します
試算結果
法人化のほうが年間 63.3万円 多く残る計算
粗利(売上 − 経費)800万円 で試算。役員報酬は自動計算で年 111.6万円(月 9.3万円)としています。
この自動計算は「税と社会保険料の合計が最も小さくなる額」を出しているだけで、 暮らしていける役員報酬とは別の話です。この額だとお金の大半は法人に残り、 個人が自由に使えるのは 95.8万円 だけになります。 実際は生活費から逆算して役員報酬を決め、上の欄に入れて再計算してください。
個人事業主のまま
青色申告特別控除65万円を適用
540.7万円
手取り(年間)
所得税(復興特別所得税込み)73.1万円
住民税59.3万円
個人事業税25.5万円
国民健康保険料79.9万円
国民年金保険料21.5万円
負担合計259.3万円
法人化した場合
役員報酬 年111.6万円
604.1万円
個人の手取り 95.8万円 + 法人に残る利益 508.3万円
所得税(役員報酬分)0円
住民税(役員報酬分)0円
社会保険料(本人負担)15.8万円
社会保険料(会社負担)15.8万円
法人税100.9万円
地方法人税10.4万円
法人事業税+特別法人事業税39万円
法人住民税 法人税割7.1万円
法人住民税 均等割(赤字でも発生)7万円
負担合計195.9万円
法人化した場合の差額(年間)+63.3万円
数字の上では有利ですが、増える負担も同時に見てください
社会保険への加入が義務になります。役員1人でも健康保険・厚生年金に入る必要があり、会社負担分(この試算で年15.8万円)が新たに発生します。
法人住民税の均等割 年7万円は、赤字の年でも必ずかかります。
・決算・申告は個人の確定申告より複雑で、税理士への外注費(年20〜40万円程度)が現実的な選択肢になります。この試算には含めていません。
法人に残る利益 508.3万円 は、そのまま自由に使えるお金ではありません。役員報酬や配当として個人へ移すときに、改めて課税されます。
・設立時に登録免許税などの実費(株式会社で20万円前後、合同会社で6万円前後)がかかります。
実際に得になるかは、事業内容・取引先との契約・役員報酬の取り方・将来の設備投資などで変わります。 この試算は判断材料のひとつであって、結論ではありません。
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この試算の前提と、計算に入れていないもの
・税率・控除額は2026年(令和8年)時点の制度によります(国税庁・総務省・協会けんぽ・日本年金機構の公表値)。
・所得控除は基礎控除と社会保険料控除のみを見ています。扶養控除・配偶者控除・生命保険料控除・iDeCo・小規模企業共済などは含めていません。
・国民健康保険料は東京23区(令和8年度)の料率を代表値として使っています。市区町村によって1〜2割変わります。
・介護保険料(40〜64歳)は個人・法人のどちらにも含めていません。
・消費税は含めていません。インボイス登録の有無や簡易課税の選択で大きく変わるためです(法人成り直後の免税期間も考慮していません)。
・個人事業税は第1種事業(税率5%・事業主控除290万円)として計算しています。
・法人事業税は標準税率、法人住民税の均等割は資本金1,000万円以下・従業者50人以下(年7万円)を前提にしています。自治体の超過課税は反映していません。
・社会保険料は標準報酬月額の等級区分ではなく、報酬を上下限でおさえた概算で計算しています。
・住民税は前年所得に課税されますが、ここでは毎年同じ所得が続く前提で当年分として計算しています。
・厚生年金は国民年金より保険料が高い一方で、将来受け取る年金額も増えます。単純な損得では比較できない部分です。
この結果は概算であり、税務上の助言ではありません。実際の判断は必ず税理士に確認してください。

試算結果の読み方

結果画面は大きく3つのブロックに分かれている。

1. 結論(差額)

「法人化のほうが年間◯◯万円多く残る」または「個人事業主のままのほうが◯◯万円多く残る」という結論が最初に出る。ここで見ている「手取り」は、法人化した場合は個人の手取り+法人に残る利益の合計だ。

法人に残る利益は、そのまま自由に使えるお金ではない。将来役員報酬や配当として個人に移すときに、改めて税金がかかる。この点は結果画面の注意書きでも強調している。

2. 内訳(個人事業主 vs 法人)

所得税・住民税・国保(または社会保険)・法人税・法人事業税・法人住民税など、税目ごとの内訳を左右で見比べられる。「どの税目が効いているのか」を確認することで、役員報酬の額を変えたときに何がどう動くかが理解しやすくなる。

3. 分岐点(損益分岐の売上)

「いまは個人事業主のままが有利」という結果が出た場合、同じ経費のまま売上がいくらを超えると法人化が有利に転じるかの目安も表示される。売上の伸びを見込んでいる場合の判断材料にしてほしい。

ポイント
一度の試算で終わらせず、経費や役員報酬の額を変えて何パターンか試してみてほしい。 特に役員報酬は「自動計算」と「生活費から逆算した額」の両方で試すと、実際の判断材料として使いやすくなる。

法人化で新たに増えるコスト

試算結果を見て「法人化のほうが有利」と出ても、その差額を鵜呑みにする前に、増えるコストを正しく理解しておく必要がある。

社会保険への加入義務

法人の役員は、役員報酬を受け取っている限り健康保険・厚生年金への加入が原則義務になる。個人事業主のときの国民健康保険・国民年金と違い、保険料は会社と本人の労使折半だ。会社負担分は法人の経費になるが、その分キャッシュアウトは増える。厚生年金は保険料が高い一方で将来受け取る年金額も増えるため、単純な損得だけでは比較できない側面もある。

均等割(赤字でもかかる法人住民税)

法人住民税には「均等割」という部分があり、これは利益が出ていなくても、赤字の年でも必ず発生する。個人事業主であれば赤字の年は税負担がほぼゼロになるのに対し、法人化すると赤字でも固定費として均等割がのしかかる。売上が不安定なうちに法人化すると、この固定費の重さを実感しやすい。

決算・申告の手間とコスト

個人の確定申告に比べて、法人の決算・法人税申告は複雑だ。自分で対応するのは現実的ではなく、税理士に依頼するのが一般的になる。この記事のシミュレーターには、決算・申告の税理士外注費は含めていない。試算で出た「法人化が有利」という差額から、この外注費を差し引いて初めて実質的な損得が見えてくる。

設立費用

会社を設立する際は、定款認証や登録免許税などの実費がかかる。株式会社と合同会社で金額が変わり、合同会社のほうが安く設立できる。この費用は初年度のみの一時的なコストだが、試算上の「法人化が有利」な差額が小さい場合は、初年度の収支を悪化させる要因になる。

注意
シミュレーターの試算には、決算・申告の税理士外注費、設立時の実費、消費税は含まれていない。 これらを加味すると、画面上の「法人化が有利」な差額はもう少し小さくなると考えたほうがよい。

よくある誤解

法人化については、ネットで断片的に語られている情報が多く、誤解も多い。試算する前に知っておいたほうがいい点を整理する。

「法人化すれば必ず節税になる」わけではない

これが最も多い誤解だ。所得を役員報酬と法人利益に分けられることで税負担が軽くなるケースがあるというだけで、売上・経費の規模や役員報酬の設定次第では、個人事業主のままのほうが手取りが多いケースも普通にある。特に売上規模がまだ小さいうちは、均等割や社会保険の会社負担分といった固定費の重さのほうが勝つことが多い。

「一人法人なら社会保険はスルーできる」わけではない

役員報酬をゼロにすれば社会保険の被保険者にならない、という抜け道めいた話を見かけることがあるが、その場合は個人事業主のときと同じ国民健康保険・国民年金を自分で払うことになるだけで、法人化の恩恵(厚生年金への加入など)は受けられない。役員報酬がゼロに近い法人成りは、社会保険料の節約にはならず、単に手取りが減るだけのケースが多い。

「法人化すれば消費税がずっと免除される」わけではない

新設法人には一定の要件を満たせば消費税の免税期間が設けられているが、これはインボイス登録をしている事業者には適用されない。すでにインボイス登録済み、またはこれから登録する予定がある場合は、この恩恵を前提に法人化のメリットを見積もらないほうがいい。

「利益が出ている年だけ法人化すればいい」わけではない

均等割は赤字の年でも発生するため、売上が波のある事業(案件ベースの業務委託など)の場合、利益が出ていない年に均等割だけが固定費としてのしかかる。単年の利益だけでなく、数年単位の売上の波を見て判断したほうがいい。

株式会社と合同会社、どちらで法人化するか

法人化する場合、多くのフリーランスエンジニアが選ぶのは株式会社か合同会社のどちらかだ。事業内容が同じでも、設立コストと社会的な見え方が変わってくる。

項目株式会社合同会社
設立費用(実費の目安)登録免許税などで20万円前後登録免許税などで6万円前後
定款認証必要(公証人の認証費用がかかる)不要
意思決定株主総会・取締役会など機関設計が必要社員(出資者)の合意で柔軟に決められる
対外的な信用力高いとされる(取引先・金融機関からの認知度)近年は増えているが株式会社より知名度は劣る
将来の株式上場・大型調達選択肢として残る基本的に想定されていない
ランニングコスト決算公告の義務など、細かい手続きがやや多い比較的シンプル

一人でエンジニアとして受託開発を続けるだけであれば合同会社でも実務上の支障は少ないことが多いが、「将来的に法人としての信用力を重視した取引をしたい」「共同創業者と株式で持分を分けたい」といった事情があれば株式会社を選ぶ理由になる。どちらが向いているかも、税理士や司法書士に相談しながら決めるのが確実だ。

法人化の一般的な流れ

法人化を決めた場合、大まかには次のような流れで進む。それぞれの工程で必要書類や手続きが細かく分かれるため、ここでは全体像だけを示す。

  1. 会社形態・基本事項の決定: 株式会社か合同会社か、商号・事業目的・本店所在地・資本金額・役員構成を決める
  2. 定款の作成(株式会社の場合は認証も): 会社の基本ルールを定款としてまとめる。株式会社は公証役場での認証が必要
  3. 資本金の払い込み: 発起人(自分)の個人口座に資本金を払い込み、証明書類を用意する
  4. 法人設立登記: 法務局に必要書類一式を提出し、登記が完了すると法人格が発生する
  5. 税務署・都道府県・市区町村への届出: 法人設立届出書・青色申告の承認申請書などを提出する
  6. 年金事務所・労働基準監督署への届出: 社会保険の加入手続き、従業員を雇う場合は労働保険の手続きも必要になる
  7. 個人事業の廃業手続き: 個人事業主として続けていた事業を、税務署へ廃業届を出して整理する

事業内容によっては許認可の引き継ぎ(個人事業主で取得した許認可は原則として法人に自動で引き継がれない)が必要になるケースもある。自分の業種で該当するかどうかは、事前に確認しておいたほうがいい。

シミュレーターの計算方法について(技術的な補足)

エンジニア読者向けに、このシミュレーターの計算の考え方を簡単に補足しておく。

計算ロジックはUIから切り離した純粋関数として実装しており、入力(年間売上・年間経費・役員報酬)から個人事業主側と法人側それぞれの税・社会保険料を計算し、両者の手取りを比較している。

役員報酬を空欄にした場合の「自動計算」は、役員報酬の額を粗い刻み幅で総当たりし、手取り合計が最大になる付近を見つけたあとで、さらに細かい刻み幅で絞り込む二段階の探索で近似している。損益分岐点となる売上額の探索も同様に、範囲を絞り込みながら二分探索的に近づける方法をとっている。

数式を1本の閉じた式で解くのではなく、範囲を総当たりで探索する方式にしているのは、所得税の累進税率・法人税の軽減税率の区分・社会保険の標準報酬月額の上下限など、税制側に複数の条件分岐が絡み合っており、単純な式変形では最適値を出しにくいためだ。個人開発でツールを作る際の設計の参考にしてもらえればと思う。

参考
税金計算をクライアントサイドの関数として実装する設計については、 フリーランス金銭プランナー でも同じ考え方を採用している。

判断は数字だけでは決まらない

シミュレーターの試算結果は、あくまで「税・社会保険料の負担がどちらが軽いか」という一面を切り取ったものだ。実際の法人化の判断には、数字に表れない要素も関わってくる。

  • 取引先の要件: 法人としか契約しない取引先があるなら、損得計算より優先される
  • 信用力: 融資・オフィス賃貸・大手企業との取引で、法人のほうが有利に働く場面がある
  • 将来の事業拡大: 従業員を雇う予定がある、資金調達を考えているなら法人形態が前提になりやすい
  • 事務負担の許容度: 決算・申告の手間を税理士に外注するコストと手間を許容できるか

試算で「法人化が有利」と出ても、これらの事情次第では急いで法人化する必要はない。逆に「個人事業主のままが有利」と出ても、契約上の制約などがあれば法人化を選ぶ理由になる。損得だけで決まる話ではない、という前提を持って試算結果を見てほしい。

税金・社会保険まわりを自分で管理してきた立場から

普段の税金管理については、自分で個人開発したツールを使って売上・経費から毎月の税金積立額を計算している。法人化するかどうかにかかわらず、まず自分の手取りの構造を把握しておくことが最初の一歩になる。

確定申告や日々の節税(青色申告特別控除・ふるさと納税など)について、初年度に詰まったポイントを実体験ベースでまとめた記事もある。法人化以前にまず個人事業主としての税務の基本を押さえておきたい場合はこちらを参考にしてほしい。

法人化すると小規模企業共済の掛け方も変わってくる(個人事業主・会社役員のどちらでも加入できる制度だが、加入条件や掛金の考え方は立場によって異なる)。節税制度としての小規模企業共済の仕組みは以下で詳しく解説している。

法人化を具体的に検討するなら

シミュレーターの試算はあくまで概算だ。自分の状況(家族構成・他の所得控除・具体的な事業計画)を踏まえた正確な判断は、税理士に相談するのが確実になる。

特に、試算結果で「法人化のほうが有利」と出た場合は、その差額が決算・申告の外注費(年間で数十万円程度が目安になることが多い)を上回るかどうかを、実際の見積もりベースで確認したほうがいい。税理士ドットコムは、全国の税理士から自分の状況に合った税理士を無料で紹介してもらえるサービスで、法人化の相談・顧問契約・決算だけのスポット依頼など、相談内容に応じて税理士を探せる。

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よくある質問(FAQ)

Q. 法人化はどのタイミングでするのがベストですか?

A. 「利益800万円」「売上1,000万円」といった目安は参考にはなるが、それだけで決まるものではない。役員報酬の設定次第で結果は変わるため、まずは自分の数字でシミュレーションし、決算・申告の外注費も含めて総合的に判断するのがよい。最終的な判断は税理士に確認してほしい。

Q. 役員報酬はいくらに設定すればいいですか?

A. 税・社会保険料の負担だけを見れば「最適な額」は計算で出せるが、それは生活費として現実的な金額とは限らない。まず生活に必要な金額を先に決め、その金額でシミュレーションして負担を確認する順番のほうが実用的だ。

Q. 個人事業主のまま消費税の免税を受けたい場合、法人化しないほうがいいですか?

A. すでにインボイス登録している場合、法人化後の新設法人向け消費税免税の恩恵は受けられない。免税を目的に法人化のタイミングを考えるなら、インボイス登録の有無・時期とあわせて検討する必要がある。

Q. 一人社長でも社会保険には入らないといけませんか?

A. 役員報酬を受け取っている限り、原則として健康保険・厚生年金への加入義務がある。役員報酬をゼロにすれば加入義務は生じないが、その場合は国民健康保険・国民年金を自分で払うことになり、法人化のメリット(厚生年金への加入など)も得られない。

Q. このシミュレーターの計算はどこまで正確ですか?

A. 2026年(令和8年)時点の制度に基づく概算であり、扶養控除・配偶者控除・生命保険料控除などの個別事情は反映していない。消費税や決算・申告の外注費、設立費用も含まれていない。あくまで「大まかな当たりをつける」ためのツールとして使ってほしい。

Q. 株式会社と合同会社、どちらを選べばいいですか?

A. 税・社会保険料の負担という観点では大きな差はない。設立費用は合同会社のほうが安く、対外的な信用力や将来の資金調達を重視するなら株式会社を選ぶ判断になりやすい。事業内容や将来計画に応じて、司法書士・税理士に相談しながら決めるのが確実だ。

Q. 法人化すると個人事業主のときの屋号や取引先との契約はどうなりますか?

A. 法人化すると契約主体が個人から法人に変わるため、既存の取引先とは契約の巻き直しが必要になる。屋号をそのまま社名にできるとは限らず、商号調査(同一・類似商号の確認)も必要になる。取引先への説明や契約の切り替えには一定の期間がかかることも見込んでおいたほうがいい。

Q. 法人化した年はどのタイミングで消費税がかかりますか?

A. 新設法人には要件を満たせば一定期間の消費税免税措置があるが、インボイス登録をしている(またはする予定の)事業者には適用されない。消費税の扱いは法人成りのタイミングによって細かく条件が変わるため、この記事のシミュレーターでは消費税を計算に含めていない。個別の状況は税理士に確認してほしい。

まとめ

法人化は「した方が得か損か」という一問一答では答えが出ない。売上・経費・役員報酬の組み合わせで結果が変わるうえ、均等割や社会保険料の会社負担、決算・申告の手間といった、試算に出てこないコストも同時に発生する。

  • シミュレーターで自分の数字を入れて、まず概算の差額を把握する
  • 役員報酬は「自動計算」と「生活費から逆算した額」の両方で試す
  • 試算結果に、決算・申告の外注費と設立費用を差し引いて考える
  • 数字だけでなく、取引先の要件や事業拡大の予定も含めて判断する
  • 最終的な判断は必ず税理士に確認する

この記事とシミュレーターが、法人化を検討する際の最初の当たりをつける材料になれば幸いだ。

DO
この記事を書いた人
DevOctane

バックエンド/インフラエンジニア歴8年。SES客先常駐から大手自社開発企業へ転職後、フリーランスとして独立。AWS・コンテナ・FinOps・バックエンド領域を中心に現場で培った知識を発信しています。