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フリーランスエンジニアの月収120万円の現実:手取り・税金・節税シミュレーション

2026.05.2528 min read
フリーランスエンジニアの月収120万円の現実:手取り・税金・節税シミュレーション

フリーランスになる前、月収120万円という数字を見て「余裕の生活では?」と思っていた。いざ2年目の夏を迎え、6月に届いた住民税の納付書を見たとき、思わず声が出た。会社員時代には想像もしていなかった金額だった。

国民健康保険の保険料も同様で、最初の通知が来た7月は「これ、何かの間違いじゃないか」とWebサイトを3回確認した。

この記事では、現在本業80万円+副業40万円=月収120万円(税別)で活動しているフリーランスエンジニアが、実際の手取り額・経費・税金・社会保険料をすべて公開する。iDeCo・小規模企業共済を活用した節税のシミュレーションと、フリーランス開始時67万円から単価を80万円まで引き上げた経緯もあわせて解説する。

この記事でわかること
① 月収120万円(税別)の手取りシミュレーション(経費・社保・税金の全体像)
② 経費・iDeCo・小規模企業共済による節税効果の具体的な数字
③ 国民健康保険・住民税の「フリーランス初年度ショック」とその備え方
④ 単価67万円→70万円→80万円(直受け)に上げた実体験
⑤ 副業40万円を並走させるキャッシュフロー管理の考え方

この記事の前提条件

記事で使用するシミュレーション値の前提を最初に整理しておく。

項目内容
本業単価80万円/月(税別)
副業単価40万円/月(税別)
月収合計120万円/月(税別)
事業形態個人事業主(青色申告・電子帳簿保存法対応)
業種バックエンド / インフラエンジニア
インボイス登録済み(課税事業者)
居住地東京都内(概算値で計算)

この記事の数字はあくまで概算シミュレーションであり、実際の税額は居住地・経費・扶養状況によって大きく変わる。確定申告前には税理士への相談を強く推奨する。


グロスから手取りまでの全体像

フリーランスの収入構造は会社員と根本的に異なる。会社員は「給与から天引きされた後が手取り」だが、フリーランスは「クライアントから受け取った全額から自分で各種費用を払う」構造だ。

月収120万円(税別)から手取りになるまでの流れ
グロス売上
120万円/月(税別)
▲ 経費
家賃・PC・通信費等
▲ 社会保険料
国保+国民年金
▲ 節税措置
iDeCo・共済・控除
▲ 所得税・住民税
課税所得に応じて決まる
手取り(概算)
約70万円/月

月収120万円でも実際に手元に残るのは約70万円前後になる。手取り率は約58%。この数字を知らずにフリーランスになると、1〜2年目に税金の支払いで口座が底をつくことがある。

消費税収入は「自分のお金」ではない

インボイス登録済みの課税事業者の場合、クライアントから受け取る消費税(税別売上 × 10%)は申告時に国に納める義務がある。月120万円(税別)なら消費税は12万円/月、年間144万円だ。

この金額を日常費に使い込んでしまうと確定申告時に資金ショートする。受け取った消費税は毎月別口座に移しておくことを最初のルールにしてほしい。

2割特例(インボイス登録後3年間の特例)が適用される間は納税額が大幅に減るが、期間終了後は簡易課税(第5種:みなし仕入率50%)か原則課税に移行することになる。


経費で手取りを増やす

経費として計上できるものはしっかり計上することが、手取りを増やす最初のステップだ。経費は課税所得から直接控除されるため、高い税率が適用されている人ほど効果が大きい。

実際に計上している経費一覧

経費項目月額(概算)年額(概算)備考
家賃按分(20%)3万円36万円在宅業務スペースの面積比率で按分
PC本体(減価償却)1万円12万円24万円のMacBook Pro ÷ 24ヶ月
通信費(全額)1万円12万円携帯・光回線
電気代按分(20%)0.3万円3.6万円業務スペース面積比率で按分
クライアント会食費2万円24万円業務関連の交際費として計上
合計約7.3万円約88万円

年88万円の経費は課税所得から直接引けるため、税率33%前後なら年約29万円の節税効果になる。経費を計上しないのは単純にもったいない。

按分率は計算根拠を残しておく
家賃・電気代の按分率を税務調査で説明できるよう、業務スペースの面積比率(例:仕事部屋8畳 ÷ 全体40畳 = 20%)をメモしておこう。「なんとなく20%」ではなく数字の根拠が大事だ。

減価償却の落とし穴

PCや周辺機器は購入年に全額計上できない場合がある(10万円以上は原則として減価償却)。ただし、青色申告者は少額減価償却資産の特例(30万円未満は即時全額計上可)を使えるため、活用しない手はない。この特例の存在を知らず、毎年少しずつ計上していた時期があったが、確定申告後に気づいてから申告方法を変えた。


社会保険料の現実

フリーランスになって最も驚いたのが社会保険料の高さだ。会社員時代は会社が半分を負担してくれていたが、フリーランスは全額自己負担になる。

国民健康保険(所得に連動して上限近くまで跳ね上がる)

国民健康保険料は前年の所得に基づいて計算される。東京都内で年収1,000万円を超えると、多くのケースで上限に達する。

2025〜2026年度の上限目安(東京都内、40代以上の場合):

区分年額上限(概算)
医療分約65万円
後期高齢者支援分約24万円
介護分(40〜64歳)約17万円
合計約106万円/年(月約8.8万円)

会社員時代の保険料が月2〜3万円だったとすれば、3倍以上の負担増になる。フリーランス2年目の7月に国保の納付通知が来たとき、金額を見て「これ、何かの間違いじゃないか」と感じたのは本当の話だ。

国民年金(固定額だが全額自己負担)

国民年金の保険料は全国一律で固定されている。2026年度の目安は月額約17,000円前後(年約20万円)。

会社員時代の厚生年金は会社が半額を負担し、老後の受給額も上乗せされていた。フリーランスの国民年金は全額自己負担かつ受給額も低くなる。この差をiDeCoで補完するのが基本的な長期戦略だ。

住民税の「前年課税の罠」

フリーランス2年目の6月に要注意
住民税は「前年の所得」に対して翌年6月から請求される仕組みだ。フリーランス1年目は収入が増えても住民税の請求がほぼなく、2年目の6月に初めて大きな金額が来る。年収1,000万円超だと住民税だけで年間90万〜100万円規模の請求が届くこともある。フリーランス初年度から前年分の住民税積立(毎月6〜8万円)を別口座に確保しておくこと。

住民税・国保の「前年課税」を知らずにフリーランスになり、2年目の夏に資金がなくなるケースは決して珍しくない。この情報を事前に知っているかどうかで、初年度のキャッシュフロー管理が大きく変わる。


節税の4本柱

社会保険・税金を支払った後の手取りを最大化するには、使える節税措置をすべて活用することが必要だ。現在実践している4本柱を紹介する。

節税4本柱:優先順位と効果
① 最優先
iDeCo(月5万円)
年60万円の所得控除(全額)
運用益が非課税
老後資金として受取
個人事業主の上限:月6.8万円
② 最優先
小規模企業共済(月7万円)
年84万円の所得控除(全額)
廃業・引退時に退職金として受取
上限:月7万円
中小機構が運営する公的制度
③ 補助的に活用
積立型保険(月5万円)
生命保険料控除:上限12万円/年
一般生命・個人年金の区分で計算
保障と強制貯蓄を兼ねる
控除効果はiDeCo・共済より小さい
④ 非課税運用
NISA(月10万円)
所得控除にはならない
運用益・分配金が非課税
いつでも引き出せる(流動性高)
インデックス投資信託を積立

iDeCo+小規模企業共済だけで年144万円の所得控除
この2つを合わせると年間144万円が課税所得から消える。課税所得が900万〜1,800万円の税率帯(33%)なら年間47万円以上の節税効果になる。iDeCoと小規模企業共済は個人事業主が使える最強の節税手段だ。

NISAは「節税」ではなく「非課税での資産形成」

NISAの積立(月10万円)は所得控除にならないため、直接的な節税効果はない。しかし運用益が非課税になる効果は長期では非常に大きく、iDeCoと違っていつでも引き出せる自由度がある。生活防衛資金を確保した上での余剰資金はNISAに回す位置づけで使っている。


節税後の手取りシミュレーション

ここまでの内容を踏まえて、年間ベースの手取りシミュレーションをまとめる。

項目年額(概算)
年間売上(税別)1,440万円
消費税収入+144万円
▲ 経費(家賃按分・PC・通信費等)▲88万円
▲ 青色申告特別控除▲65万円
= 事業所得約1,287万円
▲ 国民健康保険▲106万円
▲ 国民年金▲20万円
▲ iDeCo(月5万円)▲60万円
▲ 小規模企業共済(月7万円)▲84万円
▲ 生命保険料控除(上限)▲12万円
▲ 基礎控除▲48万円
= 課税所得(概算)約957万円
▲ 所得税(概算)▲100万円
▲ 住民税(概算)▲95万円
▲ 消費税納税(簡易課税・第5種50%)▲72万円
手取り概算(積立前)約840万円/年
うち iDeCo・共済への積立▲144万円
うち NISA・積立保険への積立▲180万円
実際に使えるお金約516万円/年(月約43万円)

手取り率は約58%、「使えるお金」は月43万円
月収120万円(税別)でも、最終的に「実際に使えるお金」は月43万円程度になる。積立・投資に積極的に回している分を加えると手取りは月70万円だが、それも自由に使えるわけではない。「高単価だから余裕」という感覚は危険で、税金・社保・積立を設計した上で生活費の枠を決めることが重要だ。

節税をしなかった場合との比較

iDeCo・小規模企業共済を一切使わない場合との比較を示す。

節税あり節税なし差額
課税所得957万円1,101万円▲144万円
所得税(概算)約100万円約147万円▲47万円
住民税(概算)約95万円約110万円▲15万円
節税効果合計年62万円

年62万円の差は、月5万円の手取り増加に相当する。「面倒だから後でやろう」と先延ばしすると、実際には毎月5万円捨てているのと同じことになる。


単価アップの実体験:67万→70万→80万

フリーランス開始時の単価は**67万円(税別)**だった。現在の本業80万円になるまでの経緯を共有する。

単価アップの3ステップ
フリーランス開始
67万円/月
エージェント経由の初案件
初めての直接契約にビビり、相場より低めで合意
「とにかく実績を作る」優先で受けた
1年後:交渉
70万円/月
契約更新時に同一クライアントへ交渉
「市場相場80万円」と「1年間の貢献実績」を根拠に提示
3万円のアップに成功。希望には届かなかったが前進
案件変更・直受け
80万円/月
エージェントを外して直接契約に切り替え
中抜きがなくなり同じ工数で10万円アップ
現在の本業単価。直受け交渉は信頼関係が前提

単価交渉で通用した根拠の作り方

交渉で最も大事なのは「感情ではなく市場データと実績を根拠にすること」だ。最初の交渉で用意したのは以下の2点だった。

① 市場相場の提示 求人サイトや複数のフリーランスエージェントが公開している「同職種・同スキルセット・同稼働率」の単価データを複数揃えた。「相場は80万円前後です」と言うだけでなく、データのスクリーンショットを見せたことで交渉がスムーズになった。

② 自分の貢献実績のリスト化 「この1年で自分がクライアントに提供した価値」を箇条書きで整理した。開発速度・障害対応・改善提案など、数字で表せるものは数字で表す。「お世話になりましたから少し上げてください」式の交渉は通らない。

③ 交渉のタイミング 契約更新の1〜2ヶ月前が適切だ。更新直前だとクライアント側の選択肢がなく強い反発を受けやすい。余裕を持ったタイミングで「次の更新時に見直しをお願いしたい」と先に予告するのが得策だ。

直受けで単価が上がる仕組み

エージェント経由の場合、クライアントが支払っている報酬の15〜25%程度がエージェントの手数料として差し引かれている。これを直受けに変えると、その差分が自分に入る計算だ。

ただし直受けは信頼関係が前提であり、初めての案件で最初から直受けを求めるのは難しい。「エージェント経由で実績を作り、信頼関係が構築できたタイミングで直受けを打診する」というステップが現実的だ。


副業で収入の天井を上げる

本業1社の契約だけでは月80万円が事実上の上限になりやすい。副業として別案件を並走させることで収入の天井を引き上げることができる。

現在は副業として**インフラ系の社内ツール開発(40万円/月)**を担当している。VPS環境での構築・運用がメインで、本業のバックエンド開発とはスキルが重なる部分が多く、特別な学習コストはあまりかかっていない。

副業を始めるときの現実的な注意点

副業を始める前に確認しておきたいことがいくつかある。

稼働時間の上限を決める 本業フルタイム相当(週40時間前後)に加えて副業を並走させると、週55〜60時間稼働になることがある。長期で続けられる量かどうかを最初に試算しておくことが重要だ。週10〜20時間以内の副業規模から始めることを推奨する。

本業の契約を確認する 一部の業務委託契約には「他社との兼業を制限する条項」が含まれている場合がある。副業を始める前に契約書の確認を必ずしておこう。

スポット案件から試す いきなり長期の副業契約を結ぶのではなく、まず単発のスポット案件(1〜3ヶ月)から始めると、自分の稼働許容量と案件の相性を低リスクで確認できる。

フリーランスとして副業案件を獲得する具体的な手段についてはSES脱出からフリーランス転向の全ロードマップで詳しく解説している。


キャッシュフロー管理の鉄則

フリーランスエンジニアのキャッシュフロー管理で最重要なのは「いくら使えるかを毎月明確にすること」だ。口座残高は見かけの数字であり、その中に税金・社保・積立が混在している。

300万円の生活防衛資金を確保する

現金で300万円を生活防衛資金として普通預金に保有している。この金額の目安は「月の生活費 × 6ヶ月分」だ。

フリーランスは病気・案件切れ・クライアントの支払い遅延などで収入が止まるリスクがある。300万円の防衛資金があれば、焦って単価の低い悪案件を受けるリスクを避けられる。「条件が悪くても受けざるを得ない」状態を防ぐことが、長期の単価維持にもつながる。

余剰資金の配分

防衛資金300万円を確保した上で、余剰資金の配分は以下のように設計している。

用途月額目的
iDeCo5万円老後資金+節税
小規模企業共済7万円退職金代わり+節税
積立型保険5万円保障+強制貯蓄
NISA(インデックス)10万円中長期の資産形成
生活費・固定費25万円家賃・食費・交際費等
合計52万円

収入が増えた分を生活費のグレードアップに回すのではなく、投資・積立に回す習慣がフリーランスの長期安定の土台になる。「生活費を豊かにするのは資産が十分に育ってから」という考え方でキャッシュフローを組んでいる。

税金の取り分け管理

受け取った売上から毎月一定割合を「税金用口座」に移す習慣をつけることが重要だ。目安は**売上の30〜35%**を別口座に積み立てること。3月の確定申告・6月の住民税・7〜8月の国保通知に備えるためだ。


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まとめ:月収120万円のフリーランスエンジニアの実態

最後に、この記事のポイントを整理する。

項目月額換算
グロス売上(税別)120万円
▲ 経費(家賃・PC・通信費等)▲7.3万円
▲ 社会保険料(国保+国民年金)▲10.5万円
▲ iDeCo・小規模企業共済▲12万円
▲ 所得税・住民税▲16.3万円
▲ 消費税納税(簡易課税)▲6万円
▲ NISA・積立保険▲15万円
実際に使えるお金約53万円

月120万円稼いでいても「実際に使えるお金」は月53万円程度だ。この現実を知った上でフリーランスになることで、初年度の税金ショックを防ぎ、長期で安定したキャリアを作れる。

節税の優先順位を再確認する:

  1. iDeCo(月最大6.8万円) — 老後資金と節税を同時に
  2. 小規模企業共済(月最大7万円) — フリーランスの退職金制度
  3. 青色申告・経費計上 — 計上できるものは全部計上
  4. NISA — 節税ではなく非課税での中長期資産形成

単価を上げたい場合は、まず自分の市場価値をフリーランスエージェントに確認することを勧める。登録・相談は無料で、現在の相場を知るだけでも交渉の武器になる。

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